すべてのおすすめ
まばたきが
夜を夜に迎え入れる
十二月が
十二月の指をすり抜けてゆく
遠く青空は鳴りわたり
音の紋は燃えひろがる
水を駆る光
光をついばむ無数のくちばし
....
荒地の隅の
暗がりの
花火のように遠い花
すぐに見えなくなる
上を向いた眼
何も映さない眼
見えない何かが
のぞきこんでは過ぎてゆく
うたがひとつ
消 ....
空に向かって融けてゆく
指のかたちの切る花
切る花
空に向かってかがやく花
鏡に映る 名前の無いもの
欲めると同時に満たされるもの
すぐに消える言葉の背を
長い長 ....
曇の裏側 霧の糸
半分の眠り 半分の過去
器からあふれる
布地の光
闇を描き足す指の痛み
静かに眩む暮れのまばたき
ふいに近づき 消える影
遠のくことさえ知らぬ影 ....
どこまでもきらびやかで
まぶしい灯りの下
見えないものは
どこまでも見えないままでいる
通りすぎる車という車の硝子を
緑色に塗りつぶしている
何をされても
何 ....
雨の光が近づいている
屋根を何かが通りすぎる
動かない空気のなか
かけらが降り
消えてゆく
灰が灰を縫っている
ひとつのなかのふたつの目
花の生まれる瞬を見て ....
紙の鏡が風のなかにあり
風ばかり映して黙っている
光の重さに
歪みまたたく
覆うことなく
重なることなく
ただ端は端に
先は先に触れ火を放つ
地に降 ....
光のにおいを
燃やすにおい
雪のにおい
水のにおい
空の青を掻く
音だけの吹雪
足もとにすがる
片羽の群れ
かがやきのない
氷の雲から
落ちてくる虹 ....
ひとつが
どこまでもひとつに感じられ
ふたつが
どこまでも数え切れなく感じられる
街が街を過ぎるような
水のような音の時間を
子は歩む
子は沈む
千の手の波
....