すべてのおすすめ
赤ん坊の頬をなぜるように
水蜜桃の皮をむいていく
あなたの指が
汁にまみれて
窓から差し込む光に包まれている
甘い水が
赤ん坊の膚のような
産毛の柔らかい皮をはぐたび
したたる
した ....
夏の終わりを待つ
私の耳には
波の音も
大きな地面を渡る水の音とはついに聞こえない
砂浜を歩きながら
光がどこから来るのかもわからなくなっていた
手を伸ばすと空間がななめになって
空がぐ ....
ときどき
おるごおるを ひきだしからだすと
ものがなしい おとがする
くらいなかから
ながれだすおと
の
ゆくえはみえず
かべにあたって
しみとなる
てんじょうの かお
を ....
わたしはばかだ、
わたしはばかだった、
わたしはおおばかだ、
わたしはおおばかだった、
わたしはだかだ、
わたしはだかだった、
わたしはだれだ、
わたしはだれ ....
夜中も二時になった
眺めるものがなくなった
冷蔵庫の前に座り込んで
あの音を聞くと
ざわざわする
腰の辺りに
コンセントがないか
確かめる
あるのかもしれない
遠くへ行こうとする ....
寒さが染みてきて
壁から伝ってくる
ひ
暖房を酷使しても
革のソファは冷たくて
ふたり絡まりあっていても
耳に吹きかける息が白くにごる
ひ
かつて
部屋の中で燃えていた
暖 ....