すべてのおすすめ
雨が降り続く夜を
遮ってしまおうと
戸袋から雨戸を引き出しかけて
ふと 手を止める

視界の端で
何かが咲いていた

雨戸とガラス戸の隙間
わずか２ｃｍの
薄っぺらな空間の足元　.... 軽い足取り
幼い照り返し
蹴飛ばしながら

進む

シャツの袖まくり
緑のさざなみ
産毛を立てながら

泳ぐ

弾む呼吸
迷走神経の舗道
気取りながら

急ぐ

　.... 僕は右に少し傾いている
君は左に少し傾いている

まったく逆に傾いているのに
傾き具合はほとんど同じだから
二人が向い合せになると
正確に見つめ合ってしまうけれど

僕は君の傾き方　.... 淡淡と靴を鳴らして
いつもの裏通りを歩く
何も企てず何も自慢せず
ゆっくりと風景を進める

淡淡とキーを叩いて
いつもの物思いに辿り着く
答えを出さず確信を持とうとせず
おずおずと　.... 人当たりの良い夜風に浮かれて
ゆうらり裏道をそぞろ歩く
コンクリートの余白から湧き上がる
若すぎる命のにおいに
甘い吐き気をもよおしながらも
どこにも辿り着けない足取りで
高層ビルを迂　.... 窓ガラスで漂白　されていない
光を鼻の頭　受け止めながら

コインランドリーの角　右に曲る
山田さんちの昼御飯　きつねうどん

網戸で裏ごし　されていない
風を耳の後ろ　感じながら
　.... 闇の東が
ほの白く潤んで
密やかな色と匂いが
滲み出す頃

花は
膨らみ過ぎる喜びに
身悶えしながら
目覚め

人は
濁った夢の浅瀬を
溺れながら
まどろむ

やがて　.... デージー （無邪気）


他愛ない君の言葉がそよいで

僕の唇の端に小さな花を咲かせた

飾り気のない君の笑顔がとろけて

僕の胸の奥の陽だまりになった





　.... たとえば今日
寒い風に吹き晒されているとして
さらに明日は
寒い雨に凍えているかもしれない
それでも破れ傘を差して
ボトボト歩いていくだけだ

たとえば今日
温かい陽射しに抱きしめ　.... 一反木綿


ブランドって何でしょう
トレンドって何でしょう
ステータスって何でしょう
セレブリティって何でしょう
誰かの視線につながれた風船になるよりも
飾り羽が多すぎて飛べ　.... 狐火


東京タワーのライトアップのバイトは
少し怖かったけど時給の油揚は厚かった
明日は午後６時にお台場集合らしいけど
エコとか言って体よく使われてる気がする
人はあやかしなん　.... ぬらりひょん


つかみどころなんてあってたまるか
若い頃の苦労はすぐに質入れしたし
長い物は巻かれるふりして帯にした
真っ正面から当たるなんてドジは踏まない
折れない柳は風を知り尽　.... ろくろ首


それにしてもあなたを待ちすぎました
わたしの断ち切れぬ想いはあの日の
あなたのうしろ姿に縋りついたままで
身体だけが狂おしく軋みながら
いくつもの夜を越えて来たので　.... さざんか （ひたむきな愛）


ぎこちない言葉をどんなに重ねても

降り積もっていく紅には追いつけない

つないだ手と手のささやかな温もりだけが

行間に溢れる紅を伝えようと　.... パンジー （ものおもい）


青空の端にぼんやり頬杖をついて

ほつれた飛行機雲を指先で丸めながら

色とりどりの想いを散らかしっぱなし

冬風が口笛で呼んでも君はうわの空
　.... スイートピー （門出）


予感の種は忘れた頃に発芽して

思いがけない場所に花を咲かせる

淡い花びらのような羽を広げた

君を笑顔で見送れるだろうか





スノー　.... とある快晴の昼下がり
異常乾燥のせいでもないが
うたた寝していた青い駱駝は
うっかり空から剥がれ落ちた

ここは都会のど真ん中
駱駝が降ってきたと大騒ぎ
けれども青臭いだけの駱駝
　.... 雨雲がはびこった空へ
僕のねずみ色の狡さが
こっそり飛び去っていくのを
ぼんやり見落としながら
また天気予報がはずれたと
君は唇をとがらせた

ガジュマルの葉っぱに
君の赤毛のした　.... もっと
川であれば良かった
素直に
下っていれば良かった

もっと
月であれば良かった
律儀に
満ち欠けしていれば良かった

もっと
波であれば良かった
健気に
寄せては　.... ゆらいでいる
風もないのに
傾きかたが分からなくて
ゆらいでしまう

その人の傾きかたは
とても美しいから
なんとかその人と正対しようとして
ゆらいでしまう

もともと僕には
　.... 灰皿の中には
口紅のついた吸殻が三本と
長いままへし折られた
断末魔が一本転がっている

口をつけなかった
ウィスキーグラスの氷は溶けて
意気地がない表面張力が
テーブルを濡らして　.... 自分が何者なのか
まだ分からなかった頃
なだらかな猫背の丘の上の
手のひらの形をした大木によりかかって
毎日のように雲を眺めていた
飽きもせずに眺めていた

いわしはうろこが剥がれた　....

ｋａｕｚａｋさんのnonyaさんおすすめリスト（82）
タイトル	投稿者	カテゴリ	Point	日付
２ｃｍの宇宙	- nonya	自由詩	15*	09-5-16
五月	- nonya	自由詩	14*	09-5-10
傾いた二人	- nonya	自由詩	14*	09-4-23
淡淡	- nonya	自由詩	14*	09-4-14
春宵	- nonya	自由詩	15*	09-4-11
ノラ	- nonya	自由詩	11*	09-3-27
春暁	- nonya	自由詩	14*	09-3-21
花言葉四行詩_＜１２＞	- nonya	自由詩	9*	09-3-15
三寒四温	- nonya	自由詩	12*	09-3-5
百鬼夜行詩_＜９＞	- nonya	自由詩	15*	09-1-24
百鬼夜行詩_＜６＞	- nonya	自由詩	7*	09-1-17
百鬼夜行詩_＜２＞	- nonya	自由詩	13*	09-1-7
百鬼夜行詩_＜１＞	- nonya	自由詩	15+*	09-1-5
花言葉四行詩_＜９＞	- nonya	自由詩	5*	08-12-26
花言葉四行詩_＜６＞	- nonya	自由詩	8*	08-12-11
花言葉四行詩_＜４＞	- nonya	自由詩	8*	08-12-6
青い駱駝	- nonya	自由詩	6*	08-11-11
迷彩	- nonya	自由詩	8*	08-11-8
後悔	- nonya	自由詩	20*	08-11-3
35_41_18_N_139_41_27_E	- nonya	自由詩	7*	08-9-20
僕が決壊した夜	- nonya	自由詩	15*	08-9-18
雲をつかむような話	- nonya	自由詩	9*	08-8-2

---

1　2　3　

すべてのおすすめを表示する

推薦者と被推薦者を反転する