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浜辺に砂が少しまきあがっている。男には、アイスクリーム売りや、赤いパラソルの貸し出し屋、肩もみ屋、サンオイル貸し、サーフィン教室の勧誘者が歩き回っている。中古屋は、その手の中に何も持っていなかった。男 ....
*うおのめ
この目は
多年草に分類されるらしいので
潰すたびに
痛みを訴えたりする
だいぶ前からの付き合いなので
最近では
勝手に声を上げたり
膨らんだりするこ ....
会いたいのに
会えない人がいる
帰りたいのに
帰れない家がある
戦争を知らずに
僕らは生まれたけれど
争いを避けずに
僕らは生きていけなかった
いつからなのだろ ....
楽園の果て
かろうじて
軽んじて
隙間風
憂き目
払拭
止めていた煙草を吸えるようになった。
磨り硝子の窓から景色は見えない。
ゆっくりと、歩くひとが大勢ゆっくりと歩いてい ....
いっそのこと泣きくずれてしまいたい
切にねがった 冬の夜
凍りついた感情をさらけだせず
夜風に旅立っていくのはいつだって
かりそめのわたし
一面の雪に埋まってしまった
ぬく ....
めんどくさい病になってしまった
今日やろうと思ってたこと 明日にしよう
めんどくさい病になってしまった
まだ布団から 出られない
自分がつくった あたたかさだって 信じられ ....
私ののどはちょっとおかしいのです
私の単純明快な言葉は
突然鈍行列車になってしまうのです
私は私を貫く影に
対抗する手段を持ちません
……ほんとうでしょうか
たぶん嘘ですね
私は、手段を ....
時計の針がチクチク鳴っていて
私の脈が皮膚を打つのがそれよりも少しだけ早いのが心配だった
{引用=ある晩黒い大きな家の影に
キレイな光ったものが落ちていた
むこうの街かどで青いガスの眼が一 ....
おいらは地球の絵を描いた
どこもかしこも平和だらけ
みんな笑顔の地球を描いた
だって平和がすきだもの
だってそれを目指すんでしょう?
おいらはみんなの夢描いた
困っている人助け ....
今日の東京タワーはちょっと変だ
いつものオレンジ色じゃない
夕陽に気圧されて
オレンジ色を諦めてしまったのかな
浅草にできるっていう新参者に対抗して
違う色になってみたのかな
負けてない
....
回路は無情に
残り滓の貴方を映す
繋がれてたのは私の方
「何時も」を何時も通り
回路は無情に
残り滓の貴方を映す
祈る、という作業を
私は避けている
たとえば
あなたの幸せを
祈る
そのとき
私は無力で
ただの石ころ
捨てられたガム
「君を想うと
やわらかな 気持ちになれるんだ」 ....
冥王星は遠いし
最果てはもっと遠いし
飛行機は怖いし
人殺しはもっと怖いし
自分は馬鹿だし
隣人はもっと馬鹿だし
結局だれかに支えられたかったわたしの人生と
異世界の哲学に恋 ....
頼るだけの愛は、脆い
だから
愛をいそがないで
―離して
耳のツンと立った黒い子犬は
首に腕が回されるたび吠えた
―僕がいると
余計に泣かしてしまうから
犬小屋が空っぽになるのを恐れ
子犬の声まで鎖をかけられていた
....
大切だから、
突き放す覚悟が必要で
幸せだから、
奪い合う覚悟も必要で
心と心を繋いだら
手と手を重ねたら
その言葉の意味が分かる気がして
この ....
地球について
しんとした時間のなかで
僕らが一秒でも考えてあげることができたら
六十八億秒の祈りが生まれるよ
気持ちを吐き出してしまいそうになるくらい
好きなひとに出会えたのもこの星だし ....
浮かんだ言葉が
消えていく
いつだって、そう
若年性認知症なんて
あるのかな
誰かメモリーを
増設してくれ
お代は
後払いでいいかい
ダメかい
爽快
カ ....
筆を持つ腕の無い僕は
口で絵筆をくわえ
カンバスに向かって
朱色を引いた
引いた朱色は次第に濃くなり
カンバスの中央で丸くなった
カンバスの下には申し訳無さそうな
地平線があり
空 ....
いつも僕の背中を見ていた
祖母がお日さまを見るように
僕の背中を見ていた
僕が祖母のお日さまだなんて気づく必要もなく
その眩しそうにしてる目に気づくこともなく
あるがままに輝いて ....
手離したはずの選択肢
見渡すことの優越感と
逆戻りする緊張に枝分かれして
毛細血管に絡み付きながら
そっと微笑みに呼び掛けている
遠くなった残り香は
脱け殻を捨てることを拒んだ
....
眠る というそのとき
人は一人になる
見ることをやめ きくことをやめ
うちへかえってゆく
今日にさようならをするそのとき
永遠に の気持ちがよぎる
さようなら
さようなら
....
二年前の私が今の私を見れば
随分ふぬけた奴だと思うことだろう
いや、今年に入ったばかりの私でも今の私を軽蔑しうる
君からみれば今の私は孤独なまま大勢を相手に戦っていく道のりから
脱落した下劣な ....
正しい行いをすると
正しい人がついてくる
純粋な心
弱く柔らかいもの
貧しくとも
悪い事をしない
分ってくれる
人がいる
苦しみはいつしか
甘い果物になって
人を喜ばせる
....
ふと口からもれた声は
どんな言葉のはじまりでもなく
そのまま枕にどさりと落ちた
わからないのは
今日のことと明日のことだ
そのあいだに佇めない弱さで
布団にたおれこむ
それさえひとり ....
風が吹いている
青く灰色のピンクの影のなか
夕暮れの香りが運ばれている
いちにちは
誰にかやさしい終わりを告げる
よるに棲息する
わたしは無生物になるでしょう
....
秋の風がふとく吹いた
東京のしたの方に台風はあった
商店街は黄金いろで
人間の顔をしたひとびとが
ふとい風に吹かれて
黄金いろになじんでいるのだった
親を大切に ....
クラゲになりたいな
必死に生きたくないな
ぶよぶよってさ
波に呑まれてさ
必死に クラゲになりたい
わけじゃないんだ
ぶよぶよってさ ただ自然にさ
クラゲは 生きててさ
....
遠い日の想い出も
甘い記憶の中に輝いて
朝の光にまどろみながら
指先が貴方を探してる
さっきまで直ぐ傍に居たのに…
目が覚めると私の瞳から消えてしまう
嗚呼、貴方には
夢の中でし ....
飼っていたのは、音のない荒野
はちがつの、日なたに置かれたたまごのように
だきすくめるたび
わたしのりんかくを剥がすもの
透明な模型のような日々
を、くみたてる
....
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