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底面の アスファルトまでも
濡らす五月の緑を
どれほど丁寧に踏みしめても
足音は奇妙に乾くのでした
その足音に含まれた 一連の私は
ぱらぱら 小さくほどけ散るところで ....
墨の ように
雨が 落ちて
朝の駅に向かうひとびとの
ぼんやり
傘までが 喪に服している
今日失うものの分まで
悼む顔つきの 薄い朝
雨を 追いすぎて 私は
....
不揃いな足音は鳩 鳩 鳩の
何かを象徴して下さることを願った赤い皴の寄る足でした
逸らした塞いだ目に耳に染み付いた 赤の皴 皴 皴に
自らの底面の砂利を明け渡す為ベンチの上面へ足を抱え上 ....
紅色に蕾んだハナミズキの予感の
爆ぜるように的中した枝の 昼間の春の
染み込んだ雲は少しも耐えたりしないので
自在に 夜は春を濃くして暮れ
紅を翳らせてゆく 通りの並木の直立の ....
鳴きちる鳥の満ちる朝に形が満ち
形を得た形たちを再び濁らせゆくのは
千切れけぶる花の煙
それは なれの果てではなく
気が遠くなるほど緩やかな横溢
浮かされ翻弄されているのは
....
曇天とは無関係に翳った夢の後
ぎゅっと
その翳り残るこめかみを圧する
スピーカーからの果汁
光みたいな酸味、沁み
やっとのことで
鈍すぎた朝に気がついたのは
昼に ....
視界にて
生成される
着色料と甘味料
そこから逃れるようにして
ぽとり、と、うつ伏せるしかない
あなたとわたし
春に間に合わない体
ああ
お砂糖の誇 ....
わたしは 此処に いるけれど
わたしは 此処に いる人か
本当は 此処に いるのだけれど
猫は 此処に いないのだ
雪で
日のない夕景は
アルミ箔の
....