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死者と語らうには、飲むことだ。
向かいの空席に
もう一つのお{ルビ猪口=ちょこ}を、置いて。

自分の頬が赤らむ頃に
あたかも体の透けた人がいるかのように
腹を割り、肝胆を晒すのだ。

 ....
凡庸なひとりの人の内側に 
身を隠す「豆粒の人」は 
いつも光を帯びている 

脳裏に取り付けられた 
あるスイッチが押され 
心の宇宙に指令は下り 

凡庸なひとりの人の内から 
 ....
三十年の間 
一つ屋根の下ですごした 
八十八の祖母が 
悪性腫瘍と知ってから 

街を歩いて目に映る 
すべての人が
やがては空に吸い上げられる 
幻の雫に見える 

曇り空の果 ....
交差点の信号待ちで 
ふと見下ろす足元

踏まれた煙草と
俯く僕の影

同じ姿勢で向きあい 
おじぎしている 
左手は吊り革の手錠に繋り 
右手は携帯電話のボタンを押し 
小さい画面をみつめる瞳は
今日も幻の出口を探す 
「 はい 」 


穴だらけのわたしはもう 
この一言があればいい 

今まで 
たった二文字が言えず 
眉を{ルビ顰=しか}め、頭ばかりで 
あなたとわたしの「正しさ」を 
{ル ....
サングラスをかけた 
全盲のおじさんが 
若者のリュックにつかまり 
地下道に入っていった 

ポケットに手を入れて 
道に佇むぼくの 
目線の先に遠のいてゆく 
ふたりの背中 

 ....
小さい頃 
目の前に立ちはだかる 
でっかい親父と向き合い 
パンチの練習をした 

額にあてられた 
ぶあつい手に 
視界を覆われ 
打っても打っても届かない 
小さい拳 

 ....
ある日、仕事を終えて
更衣室のロッカーを開くと
取り付けの小さい鏡の下に
お守りのようにぶらさげていた
5センチのくまのプーさんが姿を消していた

プーさんは
うまくいった日も
へまを ....
餅月兎さんの服部 剛さんおすすめリスト(9)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
死者の息- 服部 剛自由詩316-2-5
豆粒の人_- 服部 剛自由詩508-4-30
涙の波紋_- 服部 剛自由詩508-4-12
黙礼_- 服部 剛自由詩1*08-4-6
手錠と携帯- 服部 剛自由詩108-4-5
「_鏡_」_- 服部 剛自由詩3*08-3-18
少女のうた_- 服部 剛自由詩308-3-17
シャドウボクサー- 服部 剛自由詩607-11-26
プー子さんの退職- 服部 剛自由詩17*05-8-1

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