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炎昼を赤子の声で鳴く蝉や
誘蛾灯十枚の爪かかりけり
泳ぎきし手足を埋めて砂の城
真夜中の汗つま先へ到達す
扇風機ふいに大きく頷けり
蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
私がニフティサーブに入会してパソコン通信を始めたのは、一九九五年。
その頃、プロバイダは二つか三つの中からしか選べなかった。
ニフティにはさまざまな「フォーラム」があった。今でいえば、サイト ....
電線の雪ぶつ切れて落ちて来し
ポケットに凶器あたため暮れかぬる
妻を殺して帰る家 冴え返る
遺書などは無くとも二月の首縊り
シクラメン呪いは無垢なこころから
昔、ネットである人の書いた作品を読んでいたく心傷ついたことがありました。
数首の短歌が書き込まれていて、一つは我が子の靴を見てその成長を思う、といった内容の歌だったのですが、そのすぐ次に書かれて ....
猫のいる家は{ルビ密=ひそ}かな契約の匂いがする
猫を飼うときには年季を言い渡すきまり
人の家に長く居すぎると
{ルビ猫又=ねこまた}になってしまうのだ
こどもらが自分の部屋を持ち
夫婦だけ ....
二年前、私は仕事を終えると毎日病院に通っていた。
夫を車椅子にのせ、夜の病院内をさまよった。病院から出ることができないなら、せめて外気にに触れさせてあげたいと思った。
屋上テラスの扉は鍵がか ....
もうこれ以上失わずにすみますようにと祈るように残ったがらくたを数える一番大切なものはまだ失っていないはずとは言うものの確信はない一番大切なものはまだ失われていないのではなく残ったものの中から選ぶだけの ....
『まず、ないものねだりをしないこと』http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=781&from=listdoc.php%3Fcat%3D5%26from%3D ....
わたし、どこやらに極楽があるとおもう
春の山道で
垂れ下がって咲いている藤の花と
それを咲かせている木が
じぶんの花も
たっぷりと咲かせているのを見ると
山藤はがむしゃらに這いのぼ ....