伝わらないもんなんだろう
わかってる
この想いほどは
いつも君には届いていない
共感してみせて
大袈裟をさらして
....
あの古い家の二階の窓に
いつか見た雲が流れてゆく
雲はいつもあの窓に吸い込まれ
戻って来ない日を数える
そっと指折りをする
窓ガラスに昼の陽がさして
辺りはぱっと明るくなった
物 ....
{引用=からだのすべてを耳にしてしまいたい、いっそ}
糸電話から伝わった振動が、
あのひとの声だったと気づいたときには、もう
音もなく、底はふるえない
わたしを塞いでいく夜にも ....
かつて私の心はまだ白く何も描かれず
風のような手触りがした
誰も知らず 一枚の草の葉のように
静かにそよいで穏やかだった
ふとあやまって落としたインクのように
すべてがいつか変わって ....
凍りついた瞳
どろどろの衣服
"汚れてなんかいない"
一寸先は白い闇に
埋もれ、惑い、雑踏に流され
"消えてなんかいない"
淡い期待 ....
愛さない
好きだなんて言わない
あなたの太い指
ひとつひとつを手にとって
耳たぶの裏と
へその中に置いた口づけ
そうやって超えてゆく
....
コンセントから漏電した原色の((わすれないで))はフィクションとなり
凝固剤の足りない夜の水槽で泳ぎも歩きもできない会話
壁 ....
太陽がのぼると
鳩がえさをついばみ
{ルビ教会=イグレシア}の鐘が鳴り響く
レタマ・ブランカの花が
今日も甘い香りを漂わせている
もうひとつの町にも
ここと同じ朝がはじまる
....
きのうは最新のマーケティング理論を勉強しに
東京のどうってことのないホテルで缶詰だった
きょうはといえば九州は博多から南下している
じぶんを焚きつけて燃やして仲間を焚きつける
....
あたしのブランクを
錆び付いた鍵穴と言うのなら
貴方が鍵を突き刺して
ゆっくりと回して
ふたりでしか開けない
扉があるなら
それは
濡れた樹々の梢に透かし見た
緑の扉
明るい庭先のその扉を夢見る
光と影を刻み憧れにたたずんで
あるいは移り変わる街の喧騒の中に
待ちくたびれて
人知れず錆びついていたあの扉
そ ....
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