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ポケットのビスケットが
粉々に砕けて割れた
壁にじっと押しつけていたせいで
鳥が飛び立つのを見たかった
小さなクロツグミが羽を広げるのを
僕はしくじった
ビスケットは無残に割れてしまった
 ....
あの古い家の二階の窓に
いつか見た雲が流れてゆく
雲はいつもあの窓に吸い込まれ
戻って来ない日を数える
そっと指折りをする


窓ガラスに昼の陽がさして
辺りはぱっと明るくなった
物 ....
かつて私の心はまだ白く何も描かれず
風のような手触りがした
誰も知らず 一枚の草の葉のように
静かにそよいで穏やかだった


ふとあやまって落としたインクのように
すべてがいつか変わって ....
太陽がのぼると
鳩がえさをついばみ
{ルビ教会=イグレシア}の鐘が鳴り響く
レタマ・ブランカの花が
今日も甘い香りを漂わせている
もうひとつの町にも
ここと同じ朝がはじまる


   ....
それは
濡れた樹々の梢に透かし見た
緑の扉
明るい庭先のその扉を夢見る
光と影を刻み憧れにたたずんで
あるいは移り変わる街の喧騒の中に
待ちくたびれて
人知れず錆びついていたあの扉
そ ....
海野小十郎さんの石瀬琳々さんおすすめリスト(5)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
温室- 石瀬琳々自由詩7*08-5-14
- 石瀬琳々自由詩18*08-2-20
赤い花- 石瀬琳々自由詩8*08-2-13
双子の町- 石瀬琳々自由詩10*08-2-7
緑の扉- 石瀬琳々自由詩17*06-5-5

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