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裸足で海を確かめた後、
砂混じりに泡立つ波が残す
束の間の羊膜は
秋の曖昧な陽射しと融合して
反転の空を
この地表に造り、
(黒く濡れた浜辺は秘密裏に水鏡)
空を歩く、という我儘を赦して ....
渚のざわめきは
ナトリウム灯のオレンジに溶けて消え
九月の海が
わたしの名を呼んだ
絹を広げたように
滑らかな水面が
夜の底へと続くしろい道を見せる
爪先からそっと水を侵すと
....
灯りを消して
毛布に包まりながら
朝、からいちばん遠い眠りについて
意識の上澄みに漂う
屋根を叩く雨は
僅かずつ肌に迫って
やがて水の中に
わたしを浸してゆく
雨音は
美 ....