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からっぽの溝に鳥が死んでいた
学校の帰り道
それだけでしょんぼり出来た
世界は知らないうちに壊れていた
世界はこころそのものだった
誰彼かまわず挨拶していた
た ....
はぐれてしまった宇宙飛行士は
地球を見つめながら死んでゆくのだろうか
ぼくは誰とはぐれてしまったのだろう
かなたに何を見つめながら死んでゆくのだろう
下唇をすこし噛んだら
....
先生、お昼からどこか出掛けるんですか
お芝居ですか
お芝居を観にゆくんですか
そとは風が吹いてますね
水っぽいひんやりさが、何かの始まりみたいですね
ぼくも、ちょうど ....
おまえの住家の辺りを通過
おまえとおなじ雨粒見てる
おまえとおなじ灰色見てる
おまえとおなじ高さの曇天
おまえの住家の辺りを通過
そうだ、ぼくらは
他人のことな ....
こどもの頃からだ
ひとに相談なんてしたことがなかった
可愛いげもなかった
しても仕方がないと分かっていた
こころに届いてくるものなどなかった
見当違いのスコップで
....
さびしいのに
さびしいふりすんな
さびしいのに
さびしいとか言うな
思い出
メルヘン
傷つき
通りすぎ
さびしいのに
さびしいふりすんな
....
朝早く
透明な夜
眠りからさめたひと
青暗い街道
まだ誰のものでもない空気
でもたしかに
誰かと繋がっているテレパシィ
旅の朝のようだ
ひとも木々も ....
俺の言うとおりに言うんやで
お墓参りに行ってたんやって
雪が降って電車乗り遅れたんやって
そいつのご先祖さんとおまえのご先祖さん
大親友やったかも知れへんやろ
世の中見え ....
中学のとき
それが休日の過ごしかたのような気がして
よく一人で映画館に行った
暗い映画ばかりを選んで観ていた
いまでも思い出すのが
神田川とミ・アモーレの鐘という映画 ....
月はひとつで
星たくさん
孤高に見える星だけど
星にはたくさん仲間がいます
でも月も
青に寄り添う
せつない愛です
それがなんだと言われても
そう思う
....
今朝
息子を起こすと
たんぽぽの詩を書いている夢を見ていたのだと言う
息子はつめたい目をして宙をにらんでいる
どんな詩だったのかは思い出せないのか
それとも説明するのがめ ....
きのうあなたの夢を見たんだ
あなたはぼくに冷たかった
ぼくは遠い心でそれを憎んだ
秋の虫が星のように鳴いている
小さな命に割り込んでゆく術を
きょうも眠りにつくまえ見 ....
空気よりも
もうひっかかりがない
永遠なんて
刹那の妄想なのだろうか
それともまだ
出会えていないだけなのだろうか
世界で一番なんて
数えるのが邪魔くさかった ....
おれはくるしみたい
おれはおまえでくるしみたい
たとえば八月の朝
池をながめるベンチのよこで
たとえば熱い夜道
家までつづく短い坂のうえで
たとえばオクラを
並べた皿のマヨネーズの横で
....
この悲しみはひとにやさしくなれる
いちど別れた女となんねんかぶりに会った
肌をふれあわせる以外のことを夜通しした
この女は最愛だったが
ふたりで制度のなかにくるまれることはなか ....
星が粗野に散らばっている
オリオンぐらいしかわからない俺は
星と星を線で結べなかった
晴れのちレインの光を集めて
天体の住む街をきょうもゆく
忘れた人生を忘れた指でなぞっ ....