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その日唐突に乱れ散った雪は
特別の匂いがした
かさりかさりと私の知らない音がして
歓声がぱらぱらとあがった
音もなく後頭部から染み入るように支配する
それが私の知っている雪
氷の味 ....
誰か一人を泣き叫ぶほどに想えないぼくは
届かないものにこそ恋をする
勝手にきみを硝子細工さながらに作り上げては
掠りもしない哀しみに溺れてみたりする
きみとぼくは似ているなんて
当たり前のよ ....
始発のホームに立ち竦んで
イヤフォンからは柔らかい歌
夜明け前の空はどこまでも暗く
寝不足の目に痛い蛍光灯
私は一体何を切り売りすれば
世界と繋がっていられますか
きみの声が世界を変えることなんてない
きみの声に世界を望む人がたくさん
きみの声はきみの世界を守ってくれない
きみの声で誰かの世界を叩くことはある
整わないリズムで鼓動を打つ
心臓一つ差し出 ....