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「第一話・名もない色」と書いてみた。二年と五日前の扉絵
漁火というたましいに導かれ浴衣のうさぎ逃がすわだつみ
王冠を貝に譲ったソーダ水だまりこんでた午後がいとしい
消 ....
あの襟を 整えてみる 心にて 生まれしヒロイン 凛乎たる風
{ルビ温=ぬく}き陽に メトロノームも 居眠りす {ルビ幽=かす}かに聞こゆ {ルビ古=いにしえ}の歌
旋盤が 削り出す ....
左手を絡める鎖で身を飾る誇りを嘲え白い太陽
乱気流放つ引き金緩いまま「後追い禁止」の標識を刺す
置き去りの景色を胸に滲ませたセンターラインはためらいの色
逆風 ....
カチコチの雪見だいふくに寝そべれば月が星がと夜が袖引く
工場長 小さな頃に書いた夢「はあとのピノをいっぱいつくる」
「北極に帰りたいの?」と「しろくま」のフルーツに ....
{引用=クラクション、に、囲まれている。耳が痛い。}
スクランブル交差点の真ん中でシマウマが何度も轢死している。
深海から光を捜す。眼は閉じた。
体中の臓器が潰れていく。 ....
冬型の気圧配置を見てるよう、穏やかに君、強かったりする
拝啓と綴る手紙の確かさが、チョコレイトより君らしくある
この空と夜が導く{ルビ静寂=しじま}さえ盗めば春と予告状だす
焼酎に水 ....
穴の夜に可憐な花を引きちぎる 心の底から憎まれたくて
『やさしさ』という字はとても丸いのでやわらかなものと誤解していた
ワンピースに西のワインがふりかかる とれない染みに焦がれど、 ....
「具体的な症状をおしえてくれますか?」 「彼があたしを苗字で呼ぶの」
腕枕ナチュラル導入委員会 寝返り30回 もう朝だし
振り向かせたいから 『か ....
大声で花粉症の話をするおとなになどなりたくなかった
雑踏でふと耳をすます。どれが僕の足音かわからなくなる。
工事の人が標識と同じ格好になった。さっき一瞬。
ゾ ....
いつまでもそうやってそこにいなさいかみさまとみんなはあなたを呼んでいるけど
まだ誰も知らない土地でひっそりと虹の種など埋める秋の夜
悪だくみしてもいいけどもう二度と砂のお城は作れな ....