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月工場で
おじさんたちが
月を作っている
その日の形にあわせて
金属の板をくりぬき
乾いた布で
丁寧に磨いていく

月ができあがると
ロープでゆっくり引き上げる
くりぬ ....
 
空をさす小枝のような
父の指に
赤とんぼがとまる
お父さん
声をかけると
赤とんぼを残して
父は飛んでいってしまった
驚かせるつもりなんてなかった
いい年をして、と
笑われるか ....
 
話す声が小さくなっていく、朝
きみは一冊の
ノートになった

軽くなった身体をめくって
話の続きを書く
これからは大切なことも
大切、とは少し違うことも
こうしなければきみに届か ....
 
郵便局の方から来ました
と言い残して校長先生は
ぼくの枕を盗っていった

庭ではぼくを産んで
その後育て続けた両親が
淋しい冬の作業をしている
三年前、僕の腕を
きれいな形だと褒 ....
 
ピッチャーの投げたボールが
輪郭をあやふやにして
雲の形になり

やがてひつじになって
待ち侘びていたバッターと
いっしょに頁から退場していく

指が擦り切れるまでめくり続け
 ....
バス停の近くで生まれ
バスを見て育った
バスを見ていないときは
他のものを見て過ごした
見たいものも
見たくないものもあった
初めての乗り物もバスだった
お気に入りのポシェットを持って
 ....
少し大きな動物が
足元に横たわってる
景色にあるどの線にも
斜めになって
昨日からの続きのように
滑らかな呼吸をしている
その鼻先から
しばらく行ったところを
とうがらし売りの少女が
 ....
手作りケーキのお店で
あなたを愛した
愛したあなたは
ケーキを作った
作ったケーキは
おそらく誰のことも
愛することはなかった
その向こう
山と海とが
平行に交わっている
窓か ....
 
 
まだ夜の明けないころ
街は少し壊れた
機械の匂いがする
昨夜からの断続的に降る雨が
いたるところ電柱にも
あたっている
いくつかの窓の中には
ささやかな抵抗と
使い古された ....
魚が三人泳いでるよ
小川を覗き込みながら
子供は母親に言った
暑い夏の盛り
草の乾燥していく匂いもしていた
本当はもっと沢山の魚が群れて泳いでいたのだが
三人目を数えたところで
子供は視 ....
ブランコに乗って何度も旅をしたね反抗期の君と僕とで


ジャングルジムの骨組みの向こうに君の悲しい生家が見えてる


シーソーしながら語りあった夢の驚くほどあっけない軽さ


愛 ....
 
 
あまりに静かなので
どうしたものか
耳を澄ますと自分が
階段になっていることがわかる
踊り場には
温かい春の光が落ちて
多分そのあたりに
思い出はあるのかもしれない
遠くで ....
晴れた日の
親戚のように
父と二人並んで
日あたりの良い窓際
懐かしいことや
懐かしくないことを
とりとめもなく話し
毎日小さく丸くなる父は
明日はもっと
そうなんだろう
窓の ....
行方不明の洗濯機が二番線のホームで脱水していた


振り返ると家電フロアーの主任が裏口でまだ手を振ってる


今日もレンジの平和を願う君が両手でものを温めている


「いつも利用する ....
冷やし中華が
静かに終わった奥の方
特別なこともなく
人をまたぎ
人にまたがれ
狭い柄模様のシャツが
時々きれいだと感じられた
入口の貼紙には
かつての文字のようなものが書かれ
それ ....
町田アキラさんのたもつさんおすすめリスト(15)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
月工場- たもつ自由詩3809-4-7
赤とんぼ- たもつ自由詩2908-1-29
軽い身体- たもつ自由詩2108-1-28
後姿- たもつ自由詩408-1-23
パラパラ漫画- たもつ自由詩12+07-10-27
他のもの- たもつ自由詩2107-10-25
少し大きな動物- たもつ自由詩907-10-23
教室- たもつ自由詩807-10-18
拝啓、君は元気ですか- たもつ自由詩36*07-10-11
水面- たもつ自由詩307-10-10
公園- たもつ短歌507-10-6
返事- たもつ自由詩28*07-10-3
親戚の欠片- たもつ自由詩807-9-30
家電- たもつ短歌2107-9-22
冷やし中華終わりました- たもつ自由詩707-9-14

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