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梢にお月さまがとまってる
お月さまだって
たまには
休みたいのよ
もう
いっそ
ふたりで
涙を流しあえば
透明に近い薄青い水
もう
いっそ
ふたりで
地を蹴って
空へ飛び込めば
パウダーブルーの空
もう
いっそ
ふたりで
絡まって ....
それぞれのひとが
それぞれの窓から
明け方の空を
見ている
おはよう
あの色に
収斂されていく
美しさに
騙されて
あのひとに
会いたくなっていく
あなたは
この道を
ふたりで歩こうと
言ってたのに
嘘つき
でも
嘘つきは私
そんな日がくるなんて
信じてないのに
微笑んで
頷いたのだから
赤い靴を履いて
待っているの
もちろん
異人さんを
水面は
揺らめいている
でも
その下は
沈殿して
何かが蠢いている
今にも出てきそうに
だから
誰か助けてくれないかな
異人さんじゃなくてもい ....
霧雨が
降り続いて
やわらかな
ミルクいろに
包まれる
忘れてしまおう
どうせ幻なら
あのことも
このことも
あのひとのことさえ
きっと
幻だったのだから
みんなみんな
忘れてしまって
....
観察室から
病室に戻った日
夕方
鉛色の空に
虹が出た
儚く
でも色鮮やかで
ガラスのような
こんなに
美しいものが
あるなんて
消えるまで
見ていた
鉛色の空に
滲んでいく
虹を
わたし ....
光が
満ち溢れるまで
あと
数秒
人々は起き上がり
大きく
伸びをするだろう
ついでにあくびも
昨日の夜
泣いたことなんて
まるで忘れて
走り去る緑
水田は
鮮やかにきらめいて
遠く木々が
燃え立つ
なんて
真っ青な
そら
これが
最後のドライブなら
そう言ってくれれば
よかったのに
こころの扉、
ひとつづつ
鍵をしめていく
このままでは
あまりにも
辛いから
ひとつづつ
丁寧に
鍵を集めて
けれど
きっとそれは
忘却にもぎ取られ
探すことさ ....
それだけで
なんて
透明で
美しい朝
すれ違う キミにあげれぬ チョコレート
冷蔵庫の中 ひとり冷えつつ
チョコレート ほろ苦き想い 抱きつつ
戻れぬ想いで 自分の口にす
あたたかな あなたの笑顔で ....
ごめんね
太陽をあびて
雲を仰いで
風に吹かれて
満喫して咲いてたのに
こんな院内に閉じこめて
ごめんね
でも
わたし
とても助けられてる
なにかあった時には
....
やっとの思いで
いちばん下まで
堕ちて
堕ちて
それでも
そこも
誰かの気配が
ざわめきが
誰もいない
暗闇さえ
ない
ひつじ雲見上げて
ずしん、ときた
そっか
会えないって
こういうことなんだ
一緒にこの空を
見上げることさえ
できないんだ
この空の下で
あのひとは
わたしの知らない
....
早くはじめなきゃ
悲しみのレッスン
早く覚えなきゃ
忘却のレッスン
傷がまだひりひり痛むけど
ほかの誰かと笑ってると思うと
まだ胸が痛いけど
笑うと眼尻にしわが寄る
あ ....
秋に拾う貝殻は
なぜか哀しい
貝たちも
その海底で
小さな泡をながめたことも
あるだろう
射し込む光を感じたことも
いまは
生命も抜け落ちて
拾った貝殻を
わたしは持て ....
きらきら
水の粒が
きらきら
きらきら
光の粒が
きらきら
きらきら
お互い
そうじゃないと
わかってしまった
だから
きらきらに
閉じ込めて
きらきら
もう何も言わないで
きらきら
見つめて ....