すべてのおすすめ
――どうすれば、私は私になれるのか?

日々の舞台を演じる自らの
配役について、想い巡らせていた。
老舗の名曲喫茶にて
ショパンの夜想曲を聴きながら。

ぷつぷつ…と、ノイズ混じりのレコ ....
昔々…伯父さんの家に遊びにいくといつも、畳の
部屋に這いつくばって、すりすりすり…と無我の
境地の音を立て、何者かが憑り依った後ろ姿で、
すりすり…と和紙を摩る毎に段々…深みある旅人
の自画像 ....
どっちでもいいさ――右に転ぼうと、左に転
ぼうと、あの娘にフラれようと、はたまた結
ばれようと――全ては運命の掌がふったサイ
コロの数に過ぎないのだから

右にゃあ右の風が吹き…左にゃあ左の ....
はらはらと、風に揺られて
前方に、無数の枯葉等は舞い
鎌倉の湿った土に降りつもり…

旅人はぬめり、ぬめり
幾世代もの黒ずんだ枯葉等を
踏み締めてゆく

両側の
崖と崖を削った、一本 ....
ぼこぼこぼこ…泡の沸き立つ
黒い温泉に浸かる人々は
防水テレビの中を走る
箱根駅伝のランナー達に、目を細める

正月休みのひと時に
白いタオルを頭にのせて
自らの今年一年に、重ねるように ....
頬をなでていった、風を
振り返った遠い背後の道で
独りの樹は嬉しそうに、葉をゆらし
無数のみどりの掌は
こちらに合図している

この足もとに伸びる人影が、口を開く
(見エナイ世界)を呟く ....
どしゃぶりの雨の中
透けたシャツの後ろ姿のまま
途方に暮れた君が、突ったっている

僕は時空を越えて未来から訪れた
透明人間の旅人だから
声をかけることすらできないけれど
誰よりも親しめ ....
平日の空いた車内に腰かけて
「記憶のつくり方」という本を開いたら
詩人の長田弘さんが、見知らぬ町を旅していた。

喫茶店に腰を下ろした詩人は
ふぅ…と溜息をひとつ、吐き出し
哀しい歴史を帯 ....
染色体の一本多い、3才の周が
初めて言葉を発した
「それ…」
僕は身を乗り出して、聴き直す
「え、なに?」

目が覚めた――(なんだ、夢か…)
布団からひょっこり顔を出して
周はまだ、 ....
雲は、風の吹くままに
落葉は、川の流れるままに
我もまた
自らに内蔵された方位磁針の、指すままに

旅の鞄を背負い
腰かけ石から立ち上がる
我が影は
更なる一歩を日向へと、踏み出さん
 ....
きみは、掴まねばならない
その手をまっすぐ、明日へのばして

耳を澄ませば――確かに聴こえる
言葉ではない、不思議な呼び声

黙したまま私達を待つ
二十一世紀の霧の向こうの、{ルビ朧=お ....
無数の雨達はアスファルトに、跳ね
世界を覆う
ざわめきを鼓膜に残して
私は夢から、目を覚ます。

布団から身を起こし、のびをする
朝のひと時。

夢の中で、瞬く間に
姿を消す雨達と
 ....
丸い月を映す池の、{ルビ水面=みなも}はゆれ  
草の露に宿る月も、風にゆれ   

僕が苦手と思っていた
あの人の瞳の奥にも
もしや
僕に似た心象の水面に、ゆれる

月のひかり  
 ....
2013年・2月に行われた
渋谷Bunkamuraで
美術館の入口に、足を踏み入れ

ぬうと目の前に現れたのは
1760年頃描かれた
白隠禅師の自画像で
ぎょろり開いた目玉は、僕に云う
 ....
公園広場の人だかりに囲まれて
学ラン姿の少年は、笛を吹く。
指をぴろぴろ躍らせて
黒い瞳は{ルビ魚=うお}のよう。

楽しいメロディ奏でつつ
耳はだんぼに開いてる。
身も心も空っぽにして ....
太陽は常に西の空へと往きますが
この地球上に立っていると
まるで停まっているようです

花はゆっくり開いてゆきますが
開花はまるで、魔法です

孤児を育てる里親さんは、言いました
「親 ....
君はちょっと人より黒目が、大きいね
君はちょっと人より睫毛が、長いよね

今夜も、薄ら目を開いて眠り
夢見る二才の君は
人より染色体が一本多くて
まだ喋らないし、歩かない

ちょっと風 ....
遠い夕陽の揺らめく畑で
夫は手にした鍬で土を耕し
赤子をおぶる妻はそこへ
種を蒔く

貧しい日々の暮らしに
俯きあう
ふたりの野良着は
仄かな金に縁取られ

夕陽に瞬く無数の種は
 ....
風が、頬を撫でていった
仰いだ空を、雲は流れた
この道を往く
我は旅人
風の想いの吹くままに  
私の重みで、凹んでいる
タイヤの椅子のブランコが
ぎっしり…ぎしり…と{ルビ軋=きし}んで、ゆれる

軋んで、ゆれていくほどに
ぷらたなすの樹は、詩いだす
ざわつく若葉も、踊りだす

 ....
フィレンツェに
500年間立っている
ダビデ像の目は、睨んでいる

未知なる明日から訪れる
いかなる敵も
この世の暗闇さえも
打ち抜く(時)を待つように

一つの石を、拳に握り。   ....
この世の(ふしぎ)を探すのに
遠くを指さしては、いけない。

たとえば風に踊る蝋燭の火が
あなたの横顔を照らす、夜

胸に手をあてるだけで
あなたの(ふしぎ)は湧き出ずる  


 ....
電車を待つ駅のホームで
小さい両手いっぱいに
飴玉をのせ
ほら、とパパに見せる女の子
(夢がたくさんあるんだねぇ…)

改札口を出た脇で
人々の過ぎゆく中に
突っ立って
開いた本とに ....
包丁を、ざっくり押しこんで
西瓜を割る。

無数の黒い種達は
それぞれの姿勢で
つややかに埋まっている。

――どうせぺっぺと吐き棄てられて
  土から芽を出すのでもなかろうに

 ....
アスファルトの割れ目から
草は小さい両手をひろげ
生えている

(露水晶に陽を写し)

僕の中にも
自らを開くいのちの種が
眠っているかもしれない  








 ....
白髪の師は
開いたドアに凭れて
私を待っている

次に私が
ドアを抑えて
青年を待っている

ほんとうのことはそうして
語り継がれてゆくだろう

ドアを抑えて立つ、私の傍らを
 ....
野原の道でもつれて、転び
膝から血を、滴らす
少年・吾一は
埃を払って立ち上がり
拳を握り、天に叫んだ

「我は世界に、一人なり…!」

その時
背後の川の何処かで
ぴちゃり、と銀 ....
人が(ことば)を綴るようになったのは
一体いつからなのでしょう?

無数の国のあらゆる時代に
(ことば)が創られるより遥かな昔
宇宙に独り(ことば)はしーんと、住み
あなたの胸に転生した( ....
眼下の木目のまな板に
鯛が一匹、のっている

包丁を手にした、僕は
ひと時の間、思案する

いつかの夢の誰かの囁きが
何故か脳裏にりふれいんするのだ
(かっ裁いちゃあいかん、かっ裁いち ....
夢を追う者よ
君の往く旅の途上で
現実の壁が立ちはだかる時
憂えてはならない

(人間には、翼が無い…)
と地面にしゃがみこんだ、悔しさで
涙を拭い、ゆっくりと立ち上がり
まなざしを向 ....
殿上 童さんの服部 剛さんおすすめリスト(170)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ショパンの声- 服部 剛自由詩415-2-7
版画人生- 服部 剛自由詩415-1-25
鳥の唄- 服部 剛自由詩515-1-14
太刀洗の道- 服部 剛自由詩5*15-1-4
露天風呂__- 服部 剛自由詩315-1-3
- 服部 剛自由詩1214-12-30
透明人間の声援(エール)__- 服部 剛自由詩714-12-24
旅の列車にて- 服部 剛自由詩614-11-28
朝の日記- 服部 剛自由詩12*14-11-9
日向の道ー武家屋敷にてー- 服部 剛自由詩314-11-6
霧の時代- 服部 剛自由詩614-10-28
雨の合唱- 服部 剛自由詩614-10-22
夜の池- 服部 剛自由詩514-9-17
旅人の靴__- 服部 剛自由詩214-8-30
笛を吹くひと__- 服部 剛自由詩614-8-23
地球ノ時間__- 服部 剛自由詩11*14-8-14
夢の木- 服部 剛自由詩414-8-4
夕景- 服部 剛自由詩614-7-18
旅__- 服部 剛自由詩514-7-10
ぷらたなすの樹__- 服部 剛自由詩614-7-8
ダビデの石- 服部 剛自由詩214-6-16
瞑想録- 服部 剛自由詩414-6-9
子供のマーチ- 服部 剛自由詩714-6-3
西瓜の種- 服部 剛自由詩714-5-28
草の種- 服部 剛自由詩8+14-5-22
風の通路- 服部 剛自由詩614-5-18
絵本の風景- 服部 剛自由詩614-5-6
夢の手紙- 服部 剛自由詩914-4-25
まな板の鯛- 服部 剛自由詩514-4-20
白地図を往く- 服部 剛自由詩714-4-14

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する