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指先は弾く、のではなく、なぞると気付いた時。
あらかたを空に投げてしまったあとで
積み残したことばかりだと気が付いた
目覚まし時計は止まらない
明日の朝には、起きなければならない
....
いつだって夏は長かった
測量を終えたばかりのヘルメット姿が
今年もだ、とかそんなことを言っていた
確認したがるのは何故だろう
何日と、何時間何分何秒
それを知ったところで
今日も君は
左 ....
想いはどこへ連れて行こう
涙はどこで手放そう
忘れられないことばかりを持って
僕らは何度もここに生まれた
円く繋がった道を歩こう
いつまでも終われない街を抜けよう
ガードレールの上で両 ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
午後五時の夕日
五時半の灰色の空
六時には君が通り過ぎて
七時になると僕は溶けていく
物分りのいい振りをして
ただ諦めの、続いてしまう流れに乗っているだけで
嘘を、誰かのためと、ついていま ....
ここにあるものを
遠いことのように
海辺にはひとりで
いつも見る夢に
ひれ伏すようにして
倒れる
砂の積もっていく音
どこかから落とされる音
仰向けに空
口を開ければ世界が
飛 ....
昨日までは夢だと言う
あなたは夏に向けて静かに融解していく
水をたっぷりと含んだ世界で
それはとても自然なことのように
梅雨の中にいる
紫陽花が咲いた
午後にゆっくりと傾斜 ....
ルール それを踊る君の背中に貼り付けて 君が気付くまで黙っていようか
崩れそうな足元で 歩き出すことを禁じてみようか 立ち止まれば 立ち止まるだけ
涙の落ちていく滑る頬 涙に映りこんだ月 その一枚 ....
さようなら、晴れる人
暮れ際の暖かさ、名残、手のひらの名前を
呼んでいる、聞いている、思い出している
花びらの震える下で潜り抜けた門を
指先で触れるくらいの気配で通り過ぎる
一度過ぎた言 ....
空を
どこまでも飛んでみるということを
振り返った視線の、端のほうの夢の中
ほんの少しの香りで、漂っている
今、この辺りで
いつのまにか、梯子がなくなっている
あの木の ....
どこにでも
約束は無いとして
真夜中で
月の沈む場所
緩やかな寝息で
どこへ落ちていく私にも
約束できる
ものは無いとして
少し
はぐれる
月の端を狙撃して
落ち ....
右へ左へ
そのカーブへ
踏み込んだブレーキの
深さだけで
越えて行く空間の
流れていく時間を
揺れること
その外側へ
死角に入り込んでは
動けない
行き先を告げる案内板の
そ ....
寒がりの猫の丸い背中
繋がった手と手の行方とポケットの中
氷面を渡る
ような
流れの中で目を閉じる
おーるうぇいず・こーるど、の
僕の足跡の
爪先が少しくぼんでいること
君は気 ....
出て行くのです
朝早くの電車に乗って
霧の中のレールに乗せて
席は自由で
同じくらい不自由で
透明な朝に気付いてしまうと
そればかりを求めてしまう
ススキの群れる白い世界を
滑り込 ....
四角い壁掛け時計は、いつだってずれていく
誰よりも遅れて12時の合図を鳴らす頃
止まりかけのコンパスで、地図の上を迷っていた
地球儀はもう回らない、僕の中では使えない
新しく覚えた近道では
....
夕暮れの後の雨はどこも優しい
平静な音が響いて
空間が深まっていく、窓の外
思い返すほどに
心落ち着いていく
世界は円になっている
そんな
額面通りにはいかないらしい
言葉が繰 ....
ドアが開くような音がすると
誰かが勢いよく飛び出していく
真っ直ぐに見せている道は
静かに湾曲していて
遠くの方で反射して、光が
不透明な景色を作っている
霧に浮かんでいる街で
探し ....
森の中で月を見て
青さ静かに、目に染みていく
あるかないかのカーブを
そろり、ふわり、降りていく
静かに、選ぶ言葉に僕の
音はどこかで回り続けているか
泳いでいるのは、あなた
そ ....
夕日は傾く時間を知っている
その頃になれば
世界がゆっくりと閉じていくことも知っている
背中で、背中ともたれあう
隙間の部屋
四角いスイッチで昼と夜とを切り替えて
のろのろと、立ち上がる
....
夜の真ん中の
縁をなぞりながら
影だけの月の
少しだけ零れる明かりを
晴れることの出来ない日
ここでも
傘だけは、ある
夜に、越えられずに
息の詰まる深みを
ゆっくりと
息を入 ....
一時間に一本だけの電車の中で居眠りをしてみると
回想の中で自分の自分に逢えるので
もう一度と思ってみても
一時間に一本なものだから
すごく困ってしまう
ぼくらは、たまに
どうしよう ....
遊星の昇る日
空の縁
半円を描いたら
落ちていく
時々振り返ってみたり、見上げてみたり
大通りの騒音がすっかり馴染んでしまったせいか
空の動きのほんの少しなら、気にならなくなってい ....
散歩の途中で
くしゃみをすると
塀の向こうから犬に見つめられて、困った
立ち止まって見つめ合ってみるけれど
悪いことをした
わけではなく
少しだけ難しいことを
難しく考えてしまうから ....
流れ込むように
止まれない足元は
回転する音を
通り過ぎた重みを含ませながら
響かせている
夏に
焼ける
アスファルトが靴底を溶かしている
積みあがる積木の街
冷めないままで
....
どうしようかと
暮れている一日
些細な段差に躓いてみたり
心の縁を爪弾いてみたり
火の上で
ゆれるやかんに
お日様が降りていく
じゅっと
音を立てて
沈んで落ちていく
....
滑り台の上で滑り出せずにいる
後ずさることも出来ずにいる
飛行機が滑り込んでくる
地面すれすれ
空気が摩擦して
夏が濃くなる
毎日を鏡に映してみても
逆さになる他は何も変わらない
....
ふおーん
警笛を置き去りにして
カーブに消えていく電車
踏切では遮断機が開くことを忘れて
取り残された人々
遠くでもう一度
ふおーん
ここはゆるやかに傾斜している世の中なので
くす ....
蝉が時雨れている8月の
呼吸がぴたりと止まる時がある
子供達は公園でぶら下がっていて
突然の静寂にゆれている
初めてついた嘘はどこへやったかと
懐かしい引き出しをひっくり返すと
初めて ....
おーい
と呼ぶ声に
波線を見ています
空の上
海の下
その間の曖昧な辺りで
いつだったか春の衣装だった頃
それでは暑すぎると文句を言った頃
山沿いの海沿いのラジオも響かない場所 ....
街外れで
唸りだす自動販売機の理由を
僕は知らない
全てに理由があると仮定して
その唸りの意味を
誰も知らない
振り向いてしまう癖は
いつかの草笛のせいで
僅かな違いを聞き分けるこ ....
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