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雨の一粒ひとつぶは
空気を孕んでいて
引力にひきよせられて落ちるときに
真ん中に窪みができる

屋根から
下がる糸の鏡に
することもない子どものものおもいが
写しとられる

傘から ....
電車
降りる駅の看板が動きだす

見る
睫毛の間に雨粒の影

晴れ
瓦屋根の隙間から雀がでてくる

気配
振りかえると自分の影

授業
突然教師がさしてくる

歩行
つ ....
締めきった部屋の中にいて
小さな風を感じる
どこからきたのか
あたりをみまわす

ベッドで寝ているぼくの胸を
よぎる小さな影
どこからきたのか
窓に仕切られた空を見る

独りのとき ....
友達とビールを飲む
突然そこにいるのがいやになる
話していて楽しかったけれど
話題がぼくからそれると
組になって話す人達のなかで
ぼくだけ話し相手がなくなり
夜空に
七分咲きの花の群の
 ....
コトバになる前の液体が
血管のように
からだじゅうをめぐって
指のさきからしみでる

溶けているのは
うれしい
かなしい
すき
きらい
うつくしい
きたない
そして
点滅する ....
「見つけると幸せになれるのよ」
近所の女の子がいう
四つに分かれた青緑の草を数本持っている
これでわたしは大丈夫だわと
少女の眼は語る
ひとつわけてほしいが
胸の前でしっかりと葉を持つ少女 ....
酔いすぎたあとの朝の目覚めは
透明な悲しさ
霧の湖の水面に
さざなみがたち
底がゆれる
どこまでも沈めるようでいて
波間にただようしかない

ぼくの影はぼくの形から
女の長い髪が広が ....
家にはじめてテレビジョンがはいったのは
ぼくが八歳のときだ
十二月の寒い午後
第九交響曲を唄う白いブラウスの女性たちが
画面に映る
カメラは三人くらいずつを順番に写していく

近くにだれ ....
夕暮れの道場に電球が光る
入口の傍らに鉢植えの赤い薔薇の花
母と一緒になって道場を覗く
柔道着を着た大人と子どもたちが
笑顔で挨拶する
その中にキツネの目をした小学校の同級生がいる
見つか ....
小学校から帰って
叔父に自転車の運転を習う
家には大人用しかない
「両足がとどかないよ」
「おれだってとどかないよ」
叔父は自転車のサドルから腰をおろして
片足しかとどかない姿をぼくに見せ ....
小学校から家に帰ると
母の店に勤める悦ちゃんが来ている
兄たちは学校からまだ帰らない
今のうちに二人で遊ぼう
きっと楽しい時間になるだろう
ぼくはランドセルを投げだす
悦ちゃんは少年少女世 ....
今ここにある危機を
止める術はないのか

久しぶりに仙台の娘の家を
夫婦で尋ねる
美しい顔が教育する母になって
娘の顔は冷たく尖っている

三十年前に
娘が生まれたころ
妻は働いて ....
砂木さんの殿岡秀秋さんおすすめリスト(12)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
雨の溜め息- 殿岡秀秋自由詩711-8-15
ぼんやり- 殿岡秀秋自由詩511-5-1
どこからか- 殿岡秀秋自由詩611-3-1
居場所- 殿岡秀秋自由詩611-1-1
記憶の小道- 殿岡秀秋自由詩710-12-20
花言葉- 殿岡秀秋自由詩510-11-14
霧の顔- 殿岡秀秋自由詩510-11-1
テレビジョンの中にはいる- 殿岡秀秋自由詩610-10-1
満ち潮のように- 殿岡秀秋自由詩710-9-15
川のコトバ- 殿岡秀秋自由詩6+10-9-1
焼かれすぎた胸のフライパン- 殿岡秀秋自由詩410-8-1
今ここにある危機- 殿岡秀秋自由詩309-3-3

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