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月明かりに仄かに紫陽花の花びらが浮かび上がる。
ゆめこはそっと鼻を近づけてくんくん犬みたいに嗅ぐ。
「あじさいは毒があるんだぜ」
私がそう言うと花をひとつ捥いで、いたずらに口 ....
葉脈のない手で
壊れそうな
きみを複製して
アロエ
愛がひざまずいて
ここに痣ができたの
ぎざぎざの記憶の痕
なぞるふたつの指
触れる粘液の
とろりと滴る
....
凍ったような蒼い空の下
あの子は霜降る土地で落ち葉拾いをしている
空と大地の狭間に風が舞い
所在を失った言葉たちが
透き通った身体で浮遊する
指の先で感情と涙の分量を測り
葉脈に記し ....
いつもこの電車を
乗り過ごして
海に来てしまう
もう誰もいない
スコップで掬って
持ち帰れるような
銀色の風景
はだしになって
ひとしきり砂を蹴り
波を相手に追いかけっこをして
....
揺れるものが
すきだ
ぶらんこ
はっぱ
おっぱい
おしり
ぷりん
せんたくもの
くもの糸
みずたまりの青空
海のそこからみたひかり
なみだとほほえみ ....