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肌が透けるようなTシャツを着たきみが
キッチンで小さな竜のぜいごを削ぐ
なんの予感もない薄暮の中
麦茶が冷えている

夕はんの後の散歩はいつも同じコースで
途中、24時間やっているあの店の ....
ルーシ
君の夢見た世界を
今僕は
半笑いで眺めているよ
ルーシ
僕は一度死んだ
俗世の食べ汚しが
脊椎に溜まったんだ
ルーシ
こうなってはいけない
ルーシ
君の歯並びはガタガタだ ....
そこはいつも夏だった
降りしきる雪
枯れずに凍るひまわり


雪には構造がある
対称は
一瞬で
駄目に
なる
その分生まれる
土を覆いつくすほどに
それが耐えられない

 ....

おそいかかります
路地では
放水があって
みなが
逃げた
きみのくれた
お菓子には
黴が
はえていた
唾ごと
吐きだして
何度も
コンクリートに ....
ばらばらになった、
時間、

失われた腕は、戻ら
ない、わたしの
死んでいくための
時間、

防腐処理を施されたきみの
死が、狂おしく
咲いて、無が
咲いて、
言葉は
ばっく ....
私たち逃走していた。かすりきずに錆びついたボディーは、夕日の射光に身包みをはがれ、匂いがするようなレモンの色にそまってしまい、塗装が晴れてしまった下地の部分の、心臓みたいな銀のフレームがばれて、わたし .... ことばに
よじのぼって
泣いたり
笑ったり
しているが
水分を
ひとつも
よこさなかった
好きだ
と言うと
自分の
腕が
抵抗する
ふさわしくない

ケーキを
取り落 ....
一人でゲームセンターに行った帰り
コンビニの前で黄髪のお兄さんの鋭い一瞥と目が合った
単に喧嘩を安売りしているだけなのか
それともただ単に
一つの穴を巡る目眩く争奪戦の一つの
火蓋が切って落 ....
命令されたくないですか/
信号はもううごきません
進めか止まれかわかりません
心ある
つもりだった人々は戸惑い
まだ車ごしだったが
向き合って見つめ合った
幻想のサプライ
忘れ ....
七時三十分の電車に傾く、あなたと共に行こ
う。想像する、上に空が継ぎ接ぎになって浮
かんでは消え、進行方向に語る言葉を持たな
い僕らは、聞き取れる音だけで口笛を吹く。
それだけの空間、それだけ ....
10月27日 曇


僕は数を数えるのをやめた


「僕はハルシオンになったみたいだ」と に言った
 は腕を縦に切ったカッターを机に置いて力を込めた
「おけちゅるゆりかりゅ」
 ....


群れから{ルビ逸=はぐ}れた独りぼっちのちっちゃな猿を見たんだろう

{ルビ無花果=いちじく}の果肉を齧る時、血の匂いを懐かしく想えばいい

もう既に朽ち果てた枯れ葉が寄せる ....
鍵を開けた。
カプセルはわたしの匂いが循環する温室です。
あなたは、靴が足先に汗をかかせるように、シテ、
ふたりして、どこに向かっているのかも分かっていないのだから、
わたしたち、このまますり ....
/7月14日

バスを待つのは孤独な作業だ
ショーウィンドウに映写したすがたは
まるで霊体みたいにみえ
もしほんとうにそうだったなら
きみにもおんなじ
感謝と崇拝と
それいがい ....
 


寝て起きると
いつも新しい
新しい朝が来たと
体操をしながら
希望を体にしみ込ませていた小学生


誰が今日の空を真新しいと決めるのか
夢みがちにパンを食べる
土砂降り ....
ほしぞらみたいに黙っていたら
追憶が加速していった
メリーゴーランドは架空の天気をかかげていた
7月15日は存在すらしなかった
とてもしずかに追い越されたニュートラル

 ....
 
 
01
冷蔵庫売り場で火遊びをしている少年のシャツは裏返っていて、肌がまぶしい。

02
扇風機の真似をする君が、今日は朝から羽が壊れて、うまく首が振れない。

03
アイロン ....
入り口の ない、
壁のような表情をするから
どこから
くすぐるべきか
自らのはらわたを探ってみる


息を、
してないかもしれない
はっと思い
こないだ埋めた
種々に耳をあて ....
クモの巣に抱かれた雨粒が
かみさまの吐息に焼かれ
人知れず光を集めては
底なしの池に飛び込むのを見ていた

母さんは居なくなって
波紋すら、
できなくて
何処で見失ったのか
命の終着 ....
庭先に止まったアゲハチョウの羽には
感情の全てが閉じ込められている

そのざらざらとした声色が気持ちよくて
いつまでも肌をなぞっていてほしかった
淡い空にうろこ雲がほわりと浮かび
右目の向 ....
砕けた星が
スウィング・バイしていく
いまにも
純潔は窒息しそうで
そのうえ
日記は白紙で
小説も空白で
そのことにきづけなかったひとびとは
拡散するすんぜんだった



天体 ....
キーボードの『C』を取り外し ポケットに入れて持ち歩いている
一人じゃ可哀相なので 隣の『V』も取り外し ポケットに入れた
昨夜 板チョコを三十一個も食べて 気持ちが相当悪くなって 眠った
朝起 ....
{引用=※}
いままで
だれもみたことがない
世界地図をえがきながら
いつまでも未着の手紙
のことをかんがえる
そして
伝送されつづけるテレパシーのことをかんがえる
どちらも
回帰線 ....
「あしたは桜を観に行こう」



土曜の朝
なにやら騒がしいと思ったら
恋人が楽器をごそごそと出していた
ギターにキーボードにコンピュータ
それから何か良くわからない線とか
テーブル ....
浜辺から逃げたあの日に、あわてておとしたサンダルが一隻、いま、海にこぎだす、チベットに高跳びするのだと、空と海が双子みたいにみえたので、飛行できる気がしていた午後。

公園のゾウの遊戯具のした ....
              090315





灰皿は
投げつけるものと決まっておりまする
灰皿をザリザリ擦り
ザリザリと
ザリザリがザリザリと
ザリザリするから
地 ....
(1)建物に窓があることによって、?内側と外側は窓の面に和声を張ることができる。?外の光は死に場所を見つけることができる。?建物は不要な密度を排泄することができる。?植物の有機的な欲情は建物の無機的な .... 昨日が、夜の中で解体されていく



肉体だけを、濡れた風がばらばらにして
過ぎ去り、それでもまだ鼓動は 宿る



わたしが必要としているものは
わたしの内部の、底辺にあって
 ....
堅い梢から
白い気泡がぷつぷつと生まれて
二月の空に立ちのぼる

それは
君の唇からもれる
小さな温度に似ていて
僕の尾ひれを
とくん、と春へかたむける

ふらりと現れて
はな先 ....
未成年が
足を引っぱるには幼くて
夏の真ん中は撹拌された

期待通りの{ルビ化学反応=ハロー・グッバイ}
急回転からの{ルビ摩擦熱=ロマンティック}

  ばっかみたいだ
  ばっかな ....
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