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いつもじとじと湿っているこの街が
珍しくからっとしている
空に雲はなく
赤裸々に青を露出させている
そしてぼくは手帳の予定をなぞる
風は穏やかに通り過ぎ
なにごともない
なのに
....
澄んだ湖に ぽいっ と
石が投げ入れられた
綺麗な水面が崩れるのを
少し切ない気持ちで
見ている
乱れた湖水をしずめるのに
この手のひらは
水になれぬ野蛮
かき回すことなら
....
小糠雨が街に灰色の影を被せていたその日
道の隅でひっくり返ってもがいている亀を見た
差していた傘をそこへ置き
亀をもう一度ひっくり返し
歩けるように直した
しばらくじっとしていたそいつは ....