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春には少し早いけれど
春のピクニックと言う
桜はまだ咲いていない

月光荘のスケッチブック
腕に抱えて歩く木曜日
たんぽぽはまだ準備中

昼の日差しはもう小春
アレルゲンも飛んでいる ....
甲子園に行くためには名投手が必要である
バッテリーの才能がずば抜けていれば
守備や打撃にさして強みが無くても勝ち残っていける
二人の青年が呉琉紺駄高校に入学し、万年予選敗退だった野球部で
その ....
動物がほとんどいなくて、すきっ歯な林だけがあるような
そんな植物だけが林立する場所にも、空き缶は捨てられていた
その缶を水が徹底的に錆び付かせ、風が土に埋葬した
泥に溺れそうな缶詰の、淵が顔を覗 ....
俺のドラゴンボールが火を噴くぜと
若い男は股間を指差して叫ぶ
彼はセーラームーンを求めていたのかもしれない
三日月ではなく満月の戦士

いつかはクレヨンのような子どもを産んでほしい
短くな ....
数十年もの間、腐れ縁の切れない幼なじみがいる
だから数十年間、年賀状を出し合っていることになる
干からびたミミズのような字で
「さかたあけおくんへ」と書いた記憶がある
親同士の付き合いも古くか ....
頭が九つある竜の川の河口を抜けて
地図で見れば尾びれのような東尋坊に
ガス欠間近のバイクを止める
どこかの船越に追い詰められた犯人が
たどりつきそうな見事な崖だ
ドラマではほとんどの犯人が泣 ....
地に足が着いたまま
一番空に近づいたキリンでも
見上げる空ははるかに遠い

空を舞うように
自由に飛びまわる鳥たちでも
見上げる空は遥か彼方だ

いかなる動物も空に到達することはできな ....
中学時代の恩師が猛烈に車にひかれたと聞いて、慌てて病院へ駆けつけた
3階のナースステーションを抜けて、突き当たりにある個室に先生の名があった
ノックして扉を開けると、そこには一台の車があった
長 ....
スクランブル交差点で
ゴツゴツした緑色の肌の大男が
巨大な鉈で素振りをしている
それは腰の回転を利用した
あの野球特有のスイングで
彼の腕が伸びきる頃に鉈はブンと鳴く

彼の周りにあった ....
彼も昔は普通の水辺に住む生き物だった
腹が減ったら飯を食い、身体が求める通りに泳ぐ
底の方から水面を覗いて藻が緑色に透けるのを楽しむような
平凡な日々を過ごしていた

ある日、少年が彼の住む ....
命が終わりを迎えたら、雨を降らせましょうねと
彼女は園児の手を引きながら盛り土に
緑色した象の如雨露で水をかけてあげている
園児は鼻の頭を赤くして鼻をすすっている

園児には見えていた
住 ....
その日私は熱を出し、かかりつけ医の待合室で
テレビに映るワイドショーをぼんやり眺めていた
来るまでの道すがら風に体温を奪われ
厚着をしてきたにも関わらず、身体は芯まで冷えてしまっていた
頭はニ ....
授業を終わらせるチャイムが僕らに
仕舞い支度を促し、先生は
名残惜しそうに黒板の裾に触れて
開いた小さな穴へと3色の
チョークをぽとりぽとりと落とす

号令にやる気なく起立する僕らは
椅 ....
血液は旅をする
一生の半分は心臓を目指し
残りの半分は心臓を懐かしむ
何周も何周もするのだから
何度も何度も繰り返すのだろう

プールの前に体温を計る
血液が今、何を思うのか
知るため ....
この道を歩くと妖怪になれると聞いたので、来ました
噂の通り一升のお酢と一丁の豆腐を持って

幾つかのお寺が密集する間に、古びた町屋や商店が連なり
たまに覗く路地は、人がすれ違えないくらいの道幅 ....
山を歩かなくても
高山植物をいくつも
見つけることができた
お花畑だった
小さな草木が
つける大きな花

青い花が好きだった
眩しいくらい明るい
白や黄の花よりも
吸い込まれるくら ....
色々なものに触れてきたはずの
手はくすんだ色をしている
そして力に満ちている
地上のいかなる節足動物も到達できない
しなやかさを持つ

指を伸ばした手の甲をそっと見やれば
4本の指の2つ ....
僕は知っている
通学路の途中にある花坂斜路の下には
恐竜の化石が埋まっているってこと
それをいつか僕が掘り起こすのだ

春には桜が咲いて
夏には向日葵が咲いて
秋には金木犀が咲いて
冬 ....
朝、ドアを開け部屋を出たら
うなじの気配がした、かなり巨大なうなじだった
嗅覚の部署が暴走し、象一頭分くらいのうなじを髣髴とさせた

左脳が「オーデコロンに浸けすぎた女性が通った後の残り香であ ....
水色ストライプのひさしの向こうに
ぼんやりとした青空が広がっている
目の前に広がる防波堤
空の青が海の青を映したものなら
空気は随分とくすんでいる
陽射しに透けているこの小屋根の方が
 ....
私は昔、風でした
どこからが私で、どのような私か
わからないままに
木々を揺らし、髪を靡かせ
生きていました

高いところから低いところへ
汚いところも、美しいところも
青いところにも ....
朝、目覚めると妻がいなかった
身重で明後日には出産する予定だった
大きなお腹が隣から消えた
「好きだよ」と言うと「当たり前」と答える
あの妻がいない

ふらりと朝の公園へ出向く
鳩が悲し ....
鉄器風鈴の舌が鳴く
舌先に垂れる短冊
声量のある長く響く歌声
一匹はある夏風の布が
短冊を揺らすように
ゆっくりと流れ行く

風鈴は夏風が
めくる手紙にはさむ
しおりみたいなもので
 ....
朝焼けは夕焼けに似ている
赤ん坊と老人が似ているように
どちらも生命の底力に満ちている
朝の6時半に店のシャッターを開け
芋粥を作る母さんの割烹着
糠床を掻き交ぜ茄子を一本取り出し
畑の歪 ....
コップに耳をあててごらん
サイダーの歌声が聞こえてくるでしょう
宝石の鋭角が弾ける音
磨かれていく耳、頬、瞳

夏と炭酸は相性がいいから
海も花火も西瓜も朝顔も夕立も
炭酸と共存していて ....
お願いしなくても
地球は回ってくれていて
お願いなどしなくとも
太陽と月は巡回してくれる
わざわざ願わなくても
両親は私を産んでくれた
そして願ってもいないのに
心臓は今日も動き続けてい ....
真夜中の公園
テニスボールで
手遊びしながら
魂の友と話す
吸い込む息だけが
あまりに冷たいので
骨がひやりとする

電灯が月より明るく
ブランコを照らし
静かなので
女の声は ....
駐車場にちゃぶ台があって
さも当然のことのように
家族がそれを囲んでいる
夕飯
一家団欒
座布団もない
ただ、ちゃぶ台だけ


楽しそうな会話
夕日が横顔を照らす
ひじきの煮物
 ....
疲れ果てた大地に雨が降った
染み込んでいく一粒ひとつぶが
次第に流れを作りはじめて
大地の顔をぐしゃむじゃにしてしまう
泣いているのか死んでいるのか
わからないような崩れ具合で
少し不安に ....
夜に拾った球を舐めてはいけない
わかっていたはずなのだ
私は舐めてしまった
砂利道の中に落ちていた
黒い小さなビー玉

始めは頬がシリシリと痺れ
舌は硝子の冷たさと甘味
腐った葡萄か苺 ....
あおばさんの木屋 亞万さんおすすめリスト(107)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春の似顔絵- 木屋 亞 ...自由詩3*09-3-9
透明宣言- 木屋 亞 ...自由詩3*09-2-2
ひとのきかん- 木屋 亞 ...自由詩7*09-1-30
イタリ- 木屋 亞 ...自由詩2*09-1-7
あけおめ- 木屋 亞 ...自由詩6*09-1-1
R305- 木屋 亞 ...自由詩3*08-12-26
空以外の空- 木屋 亞 ...自由詩2*08-12-19
段差のない家- 木屋 亞 ...自由詩3*08-12-16
ピーマンショック- 木屋 亞 ...自由詩1*08-12-12
さらわれた魚怪類- 木屋 亞 ...自由詩3*08-11-28
如雨露- 木屋 亞 ...自由詩2*08-11-23
単純な犯罪- 木屋 亞 ...自由詩5*08-11-22
指定席- 木屋 亞 ...自由詩3*08-11-13
平熱- 木屋 亞 ...自由詩6*08-10-30
人指し指から、お願いします- 木屋 亞 ...自由詩1*08-10-20
ソーラーパネル- 木屋 亞 ...自由詩2*08-10-11
じつと手を見る- 木屋 亞 ...自由詩2*08-10-10
斜路- 木屋 亞 ...自由詩3*08-10-8
感覚器倒錯的迷走期- 木屋 亞 ...自由詩2*08-10-7
影のない犬- 木屋 亞 ...自由詩8*08-10-5
風を見ると懐かしい- 木屋 亞 ...自由詩5+*08-10-3
毛を舐める猫- 木屋 亞 ...自由詩5*08-9-24
しまい忘れた風鈴- 木屋 亞 ...自由詩2*08-9-20
芋粥- 木屋 亞 ...自由詩4+*08-9-16
微炭酸- 木屋 亞 ...自由詩2*08-9-14
生き道- 木屋 亞 ...自由詩3*08-9-8
未来がまだ懐かしかった頃- 木屋 亞 ...自由詩3*08-8-27
青空家族- 木屋 亞 ...自由詩5*08-8-26
野球- 木屋 亞 ...自由詩1*08-8-23
夜球- 木屋 亞 ...自由詩5*08-8-21

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