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終わる、と
ただ巡っていくだけのものに
あきらめにも似た終止符を
打ち続けて僕の数直線は
みっともない
姿をさらして
次の巡りを待てないほど急いで
どこに辿り着けた
....
ビジネスホテルの一階の
回転寿司屋で黒人さんの握った
トロのしゃりがあまりにも真っ白くて
私は奥歯で笑いながら
虎を溶かして作ったバターを思い出す
たしか、色素の抜けた太めのコックが
伝統 ....
紅葉が近づく{ルビ樗谿=おうちだに}は
とうめいなたくさんの蛍が
言葉だけつまった
名前だけの思い出を
夕暮れにかえそうとする
いろだけになってしまう
ぬくもりを失うと
とうめいにな ....
空を飛びたいなど思わない
眠ってしまおうとも思わない
そんな明るい雨の昼下がりは
激しく窓ガラスで弾けて
つたい落ちる滴を
ずっと、ずっと見ていたい
大切に飼っていた金魚を
....
低い雲が覆い隠す
放牧場のある丘には
みっつの風車が立っている
ぎゅおん、ぎゅおんと
海にむかって唸って
いるはずの刻
{ルビ霞=かすみ}のように薄い雲が
まわっている時間を
見えなく ....
月は
硝子に描かれた設計図なのです
半透明に、透明に
あるいは暦のように
時は
暦の影絵
季節を待ちこがれた獣が
手に入れた花占い
君は
峠ではためく{ルビ経文布=タルチョ} ....
抱きしめると
あなたが
ガラス玉の寄せ細工に
思え
はじけ飛ぶ
その寸前を確かめたくて
そっとぎゅっと
力を入れる
と、
あなたは
小さな咳をするので
腕をゆるめて
顔 ....
踏みつけていた
いつの間にか踏みつけていた
{ルビ直線歯車=ラックレール}
きれぎれにされた
人生のように
強さだけを必要とされて
ずっとつながっていました
峠を越えるの ....
風のための門を
行き来する影がみえる
波を越えて続く
その道を
懐かしさではなく
今日の温度で
宿命でも運命でもなく
それはタンポポ
土手に降りそそぐ
季節の日差しに
僕は目覚める
旅立ちにはもってこいの日だ
風は南南東
ロウソク工場の煙から推測するに
風速は2メートル
....
僕の消えていく闇の名前
石炭ボイラーの匂い
江浦路の路面電車が踏みつける
レールの間で腐っていく{ルビ瓜=うり}の皮
入り口だらけの逃げ場所
擦り切れた人民幣
二十五元五角の片道切符
....
農家の母屋を改造した学生下宿が
家賃一万円の住処だった
わたしは床の間のある客間の六畳
一二畳の居間には親友が
離れの六畳には先輩が
隣の六畳と四畳半には後輩が
それぞれ巣くっていた
....
落日
蜃気楼のよう
だけど蜃気楼じゃない
焼かれるのは
空じゃなく
今日という日の末路
果てるような
限界線
焼かれるのは空
じゃなく
波打ち際
雪に縁取られ
{ルビ烽火=のろし}をあげる夜
松がいい、そうだ黒松だ
沖の漁船
送り雛のように
漁火を灯いて連なる夜
星が海に突き刺ささってやがる
雲 ....
凍える桜の枝を煮る
花の色に染まる
記憶のひとひら
なくしそうな
砂のらくがき
ため息で
消して
あなたの指した
電柱の奏でる擦弦楽の季節
手をさしのべても
触れるもの何も ....
親父の趣味は小さな鉢植え
鉢の順番を並べ替えては
玄人じみたため息をついて
またはさみを入れる
たどり着けない完成に向かって
まず渋茶をすするのも
たどり着けない完成に向か ....
最高地点からの長い直線を下り
左にカーブを揺らすと
そこに短いプラットホームがある
僕らは降り立ったんだ
星の遠めがねと使い古した星座盤
重たくでっかいカメラと赤道儀
遠くばかり見るた ....
二本のレールはずっと平行線
交わる時は必ず分岐点です
言い訳の出来ない
ダイヤグラムでは
二つの時間だけが時折
交叉していきます
ホームの対岸から差し入れられ
....
吹かれるように手を振る
ススキの群れの中に
枯れて埋もれていきたいと
いや、そんな最期のために
生きていきたいのです
西風が波を走らせて
遠泳の息継ぎのように
{ルビ水面=みなも ....
京都へは
西大寺から各停で行くのがいい
KYOTOステーションは
洛中と洛外を隔てる
無意識で巨大な土壁
だからこそなおさら
裏口からこ ....
奴は
山に登るのだ
そう言っては、ニコン党のくせに
私のオリンパスを借りに来る
高山植物を撮るのだという
いつも汚い日焼け顔をしわくちゃにして
稜線を越えていくホシカラスの夫婦
....
天王寺動物園に
桜が咲いて
カラオケの音量が
最大になった日
僕たちはアポロの前で
待ち合わせた
どこに行く当てもなくの約束
ただ一緒にいたかったから
もっとたくさん、桜がみた ....
蘭州を出発してからもう2日も経つが
鉄路は大きな曲線をいくつか描いて
岩の転がる砂地と、とうめいな蒼色の空
それだけの風景はいっこうに変わる気配がなく
ホウロウのカップで
開水に粉コーヒーを ....
アルバイト帰りの夜
いつもこのホームで
手を振って分かれた
僕は石切まで準急で
君は高安行きの各駅に乗り換えて
左右に分かれてカーブへ向かう
君の各駅停車が傾きながら夜景に溶けて
....
僕の部屋からは
プラットホームが見下ろせる
知らない人ばかり詰め込んだ準急を
この窓からいつも見送る
ここは始発駅だ
短い旅程の百度参りを
飽きることなく繰り返す
乗車率427% ....
梅雨の夜風に混じり込む体臭の湿気
雲にまいた砂混じりの渇いたため息
無気力にぽっかりあいた満月の
光子すらはらんで
みな本当の風を知らない
それらをすっかり失われた
古代の技術で精製し ....
好きだったのは
こうして静かに
時計の鼓動を聞きながら
ふたり黙ったまま
くるはずのない奇跡を
じっと待つ時間
それは永遠
無限に続く鍵盤のようだった
あなたがいなくなっても
....
手をつないで
蛍を見に行ったのだけど
あまりにも きみどりの光が舞うから
僕は天地を失いそうになって
繋いだ手を
ぎゅっと握ったのです
そうすると
君もぎゅっと握ってきたので ....
今日、両親から荷物が届いた
シャケは辛塩で、焼くと真っ白になる
タラコは無着色で、見た目はマズそう
これら北海名物を口に運びながら
函館山に打ち寄せる
海峡の早潮が岩に砕けた白濁の泡 ....
学生時代に旅した外国で
たくさん手紙を書いた
両親や兄弟や友人へ
砂漠に近い
ひどく乾燥した扇状地の街
ボロっちいホテルの一室で
二度とはき出せないような
甘い寂しさの詰まった手紙を ....
あおばさんのたりぽん(大理 奔)さんおすすめリスト
(60)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
巡礼、あなたの髪の
-
たりぽん ...
自由詩
13*
06-12-26
駅・五反田
-
たりぽん ...
未詩・独白
13*
06-12-10
砂丘で蛍を見たあいつ
-
たりぽん ...
自由詩
15
06-10-19
明るい雨の昼下がりは
-
たりぽん ...
自由詩
15*
06-8-17
風時計、雨空を文字盤に
-
たりぽん ...
自由詩
17*
06-6-27
星を、かぞえてはいけない
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-6-13
臨界点
-
たりぽん ...
自由詩
14*
06-5-3
駅・軽井沢
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-4-5
かよいみち
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
16
06-3-4
タンポポ、旅立つ日
-
たりぽん ...
自由詩
13
06-2-26
上海1986
-
たりぽん ...
未詩・独白
8*
06-2-26
二台の洗濯機における青春の一考察
-
たりぽん ...
自由詩
37+*
06-2-23
夕刻、焼かれるのは
-
たりぽん ...
携帯写真+ ...
28*
06-2-17
おくり
-
たりぽん ...
自由詩
9*
06-2-8
それが喩え、だとしても
-
たりぽん ...
自由詩
16*
06-2-3
アルゴリズム_盆栽
-
たりぽん ...
自由詩
9*
06-1-22
駅・野辺山
-
たりぽん ...
自由詩
8*
06-1-2
ローカル線で携帯をスクロールする
-
たりぽん ...
未詩・独白
7*
05-10-19
わたり
-
たりぽん ...
自由詩
14*
05-10-4
駅:京都
-
たりぽん ...
自由詩
5*
05-9-10
奴への送らない手紙
-
たりぽん ...
自由詩
12+*
05-8-24
駅:あべの橋
-
たりぽん ...
自由詩
9*
05-8-24
ひめりんごたちへ
-
たりぽん ...
自由詩
9*
05-8-14
駅:布施
-
たりぽん ...
自由詩
7*
05-8-13
駅:上本町
-
たりぽん ...
自由詩
9*
05-8-12
風に揺れる枝が言葉ならば
-
たりぽん ...
自由詩
7
05-6-29
ピアノがなる
-
たりぽん ...
自由詩
7
05-6-19
ほたる・樗谿(おおちだに)
-
たりぽん ...
自由詩
11*
05-6-13
小包み・函館山
-
たりぽん ...
未詩・独白
5*
04-12-12
あのポスト
-
たりぽん ...
自由詩
20*
04-10-10
1
2
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