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路面に{ルビ陽炎=かげろう}ゆらめく
真夏の正午
長袖の作業着に
ヘルメットをかぶる
眼鏡のおじさんは
汗水たらし
鉄パイプを{ルビ担=かつ}ぐ
路面には
夏空 ....
なぜあなたは
病の親の世話をして
毎朝歯を喰いしばり
家の門を出て来る部下が
体調崩し仕事を休む
辛いこころが見えぬのだ
わたしは今日も ふんふん と
あなたの腐った愚 ....
今日は盆の入りなので
夜家に帰り門を開くと
家族は敷石の一つに迎え火を焚き
両手を合わせ
揺れる炎を囲んでいた
初老の母ちゃんが
「 お爺ちゃんがいらっしゃるわよ 」
と ....
二十一世紀の
ある青年は日々
( 姿の無い誰か )が
自分を呼んでいる気がした
*
二千年前の遠い異国で
ある村の漁師は湖の畔に立っていると
背後を誰かが通りすぎ
....
地下道の便所の前に
何も書かれていない
真っ白な短冊が
くしゃりと折れて
落ちていた
無人の通路に
夜の靴音を響かせながら
便所を通り過ぎる
Tシャツの背中を ....