ユダは考え深かった
海野小十郎
いろいろ考えたんだが、結局のところユダというイエスの反逆の弟子といわれている使徒ユダは、非常に考えの深い個性ある人格だったのではないかとい ....
うつ、という言葉が好きではありません
その言葉で
ああ、自分は、そううつというヤツなのだ、
と思えば
すこし、居場所をあたえられたような気にもなりますが
なんだか、その言葉ひとつで
自 ....
夜になると
鳥は空を飛ぶことを諦め
自らの隙間を飛ぶ
高い建物の立ち並ぶ様子が
都会、と呼ばれるように
鳥は鳥の言葉で
空を埋めていってしまう
知らないことは罪ではな ....
シシャノユメ
オマエ アタマワルイ クワレル サンジゲンノリッポウタイカラ
セッソクドウブツノヨウニ クノジガタニオリマガッタ テアシ トビダシテイル
ヒロガル スキトオッタヒカリノヨウナエ ....
長いものに
巻かれている
巻かれたまま
雨にうたれている
門柱に汚れた表札
無い
と思う
年末の大掃除の
音と匂いが
街を満たす
そんなに好きなら
大掃除だけしていれば ....
雑踏で喫煙をしていると
衛生的な感じの服を着て
酸素マスクを付けた人たちが
群れを成してやって来て
あなたはどうして煙草を吸うのか
と言う
くちごもっていると
健康の為に今すぐにやめ ....
ひとつひとつに
名前なんてなかった
きみだけが知っていた
美しい世界
神さま
ねえだから
きみは神さま
みんながうまれたときに
さいしょに泣いてくれたのは
きみだったな
あわくする ....
蹈鞴川
それが、何処の、監獄の壁から吹きつけてくる風なのか、
匂いなのか、鉞の一閃なのか、夢は深海の泥土に塗り潰されていて、
傷のように甘い、一瞬の移ろいをへて、妹が何度でも私の、
....
一.
青を
反故にした
空
よりも
事情がある
真昼につき、
雨はふらない
二.
鋏の持ち手が緑だったことから
分け合いたくない
ままの
手 ....
ここに来させていただいて、
1年が過ぎました。
多くの方々の詩を読ませていただけたこと、
そして、多くの方々に私などの詩を読んでいただけたこと、
こころより感謝しています。
....
ただいま調整中
「ジギタリス・ブラン」
オラ、妙な病気になってしもうて、体があんまり動かん。
こう、だんだんにな、体が石みたいに固くなってゆくんじゃて。
もう、治らんそうじゃわ。
やれやれ、 ....
・
駐車場で暮らす人と知り合いになった
駐車場の
車一台分に四角く区切られたスペースに
うまくお布団を敷いて
机を置いて
入れ替わり立ち替わりする車のヘッドライトを灯りにし
雨が降れ ....
格闘技観戦が吉 おひつじ座
リングサイドで熱を感じて
無理をせず健康管理大切に
おうし座の君 野菜足りてる?
双子座の陽気な魅力曇りがち
楽観的に甘えてごらん
恋愛はフォロー大 ....
「並んだテールランプ
漁り火のよう
空はくれてやる」
「地味な色の饅頭は
もういいや
飴を噛んで夜を待つ」
「諦めの早い男
高望みする女
手を離せば知らない人
....
明日も生きていてね
と君は言う
たとえ明後日生き返るにしても
明日君が死んでしまったら
やはりそれは悲しいから
明日も生きていてね
と君は言う
なにかをかなしがるような眼で
ど ....
1 + 1 = I Love You
2 - 1 = I Miss You
わたし、はじまりの朝に
終わりに近付いていく
ほどけていく絡み合った
か細い線に引き込まれて
ほら、いまにも
ちぎれてしまいそう
小さな声で呟く
あなたの消えそうなか ....
茉莉花はこのごろ 勉強してる
子どものころからの 夢を 叶えようと
茉莉花にとっては 今までに流した 涙 ぜんぶ すくいあつめて
シューパロ湖ひとつ つくるくらい たいへんなこと
で ....
寒い、と言うと
あなたはわたしの肩に
そっと
うなぎをかけてくれた
ぬるぬるして
うなぎも鳴くのだと
初めて知った
うなぎのさばき方を
教わったのも初めて
大人の恋は
....
(その繋がりは拒絶からはじまる)
時として必要になる
人と人との間には
その、繋がりがあって
それは瞬く間に
拒絶に変わる
雨の降る真夜中 その中で
佇むわたしの背後 ....
かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいました
家族、いなくなる為に準備をして
汚れた服を着るほかないのなら
いぶかしそうな視線に
それでも
違います、とは云え ....
.
雨は夜更け前に
一段と激しくなるだろう
永遠を探していた
一人、何もない道を歩いて
世界の事なんて考えながら
夢と現実の狭間を
さまよっている
母が死にました
川はい ....
.
笑う事をやめた月
わたしはそれを
悲しみと呼んだ
いつからかわたしたちは
色を忘れてしまい
光を失ったまま
月と一緒に
やせほそっていく
ここは
あの人のいない ....
.
母が死んだ日の翌朝
わたしはいつもの時間に起きて
いつものようにご飯を食べた
横たわった母の手を
そっと、さわる
(つめたい、手)
(瞼はかたく閉じられていて)
これが ....
逆光でよく見えなかった顔は
少し寂しそうだった
あの人、もうすぐ死ぬの
朝靄に紛れて
毎日出かけていく
今、生きている
その事を
実感したいのかもしれない
かわいそうな人
....
朝露が髪にあたり
それは次第に
大量の雨へと変わっていった
頬を伝って体中に
染み渡る
冷たい雨
歪んだ風景
溶けていくわたしは
雨、同化していく
高すぎて見えない
....
少し遠くの楽園から
手招きしている人がいる
とうめいの雪が
小さく呟きながら
わたしに降りそそいでくるのが
とても心地よくて
夏の雪
月の白さに隠れて
楽園を照らす
わた ....
遠いところへ行く
だれもいない所へ
わたしという存在を
消すために
紫がかった夕暮れ
落ちていく太陽を
目で追う
暗闇が訪れた時
わたしは、無に帰る
砂の混ざった荒れ ....
深い青色をした海が
少しずつ近づいてくる
わたしだけでは
とても耐えられない
そんな場所で
あの人は毎日
立ちつくしている
冷たい手のひら
からめた指がふるえる
見つめると
....
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