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あの頃の苦しみは燃え尽きた
膿も栄養も全部一緒に
それから抜け殻同然の空っぽになって
じんわり幸せだけ残った
小さな泉のように湧いている
弱弱しく
けれど無尽蔵に湧いている
....
夜明け前の散歩
灯りのない家々を抜け
ちょっとした農道を行く
一人一人の孤独が夜露になって
暗闇を舞う小さなこうもり達の
羽を少し重くする
いつもの開けたどん突きで立ち止まり
ゆ ....
お爺ちゃん
真っ昼間
海辺の無人駅に一人座った
何のために来たのかも分からないまま
海が見渡せる方の端っこの古びたベンチで昼寝をした
陽が傾いて折れたような首元に柔らかい光が当 ....