糊の効いた藍染めをくぐり抜けると
石鹸の香りがいらっしゃいませと迎えてくれる

散歩の途中でみつけたお風呂屋さん
モクレンの香りに誘われて迷い込んだ小路
朝夕通っている駅前通りとはさほど離れ ....
 

目の見えない猫に
少年が絵本を
読み聞かせている

まだ字はわからないけれど
絵から想像した言葉で
ただたどしく
読み聞かせている
 
猫は黙って
耳を傾けている
少年 ....
月に着いて4日目に信じられないものを見た

そらを覆う、巨大な 黄色いクジラ

音もなく 空を泳ぐ

僕と目が合い

一粒の涙を流し

また泳いで 月の地平線に消えていった、
あの上り電車で何本見送ったことになるのだろう
別に数えている訳では無いし
有り余った時間を費やせればとストールの毛玉など毟りながら
外界と隔絶された待合室の硬いベンチに腰掛け
あの夜の顛末でも ....
あのひとから乞われた訳じゃない
成り行きでと言えばそんな感じだった
奥さんよりも私を選んでくれた
そんな幼い優越感が無かったといえば嘘になる

幸せだった頃に家族で訪れた事があると話していた ....
お正月ぐらいはと帰った実家で
思いがけず伯父さんからぽち袋をいただいた
幾つになっても嬉しいものは嬉しい

おめぇにもやっからよ

おとそ気分全開な赤ら顔は楽しげに
崩したあぐらはすっか ....
叱るつもりが
感情に身を任せ怒っている
自分の醜い姿に気づく

ひとは誰でも
誰かを叱ったり怒ったり出来ないはずなのに

自らの思いを通そうとでもするのか
声を荒げてみたり
ときは手 ....
重たいよ、重たいよ、と稲が鳴ります


生まれるよ、生まれるよ、と栗がもうすぐ妊娠八ヶ月です


うーーん、と心地よい秋風に、晴天が背伸びをします


ぐう、ぐう、と魚の雲を見たわた ....
長い影を背負って歩く祖母と、
手を繋ぎ歩く
短い道のり


夕暮れの中、
迫り来る夜に仲良く辿る家路

あと何度?
あと何夜?
握る皺だらけの小さな手
雨が笑ったら
それは春の始まり



雨が色付いたら
それは夏の始まり



雨が美味しくなったら
それは秋の始まり



雨が意志を持ち始めたら
それは冬の始まり
 ....
携帯電話から母が出てきて
べつになんでもないんだけどさ、と
なんでもないことをしゃべり始めた
この「なんでもないこと」というのは
父が発明家になってしまって
サラリーマンのほうが都合が良いの ....
ゴミ箱を作ったので
いらないものを捨てた
だけど、ゴミ箱はまだ満足していなかった
仕方がないので
最近、増えすぎて
持ちきれなくなった不安を捨てた
ゴミ箱は少し満足したようだった
その日 ....
へのへのもへじみたいだねと問いかけたら
「へへののもへじ」が正しいんだと
あのひとは言った

―へのへの

叱られて家に帰れなかった
夕焼け空に
ロウセキで描いた
へのへのもへじ
 ....
おかず一品足りないと
不機嫌そうな顔をするあなた
でもね、わたしだって何かと忙しいし
お給料日だってずっと先

あなたに足らないのはおかずじゃなくて
もうちょっとの頑張りなのかな
好きな ....
垣根の灌木の枝は
年じゅう好き勝手にのびるので
つい気を抜くと
目も当てられない状態になる
裁断ばさみで
枝を切り落としながら
つい考え事をして
ざっくり切ってしまうと
枝のあいま ....
紫色のくちびるを震わせ
熱いコーヒーで暖を取るわたしに背を向けて
あなたはストーブに薪をくべている

見覚えのあるチェック柄の毛布
あなたの匂いを胸一杯に吸い込んでみた

冬の嵐の去った ....
{引用=
いつまでも白でいたいと言ったから、代わりに黒でいようと思った。



熱にうかされて追いかけた影

幸せだったか思い出せない



金平糖を噛み砕く癖・紫煙を燻らせる仕 ....
体も
心も
忙しすぎて
疲れてしまったら

大切な
休息の
時間

心も
体も
くたびれている時は
無理をしないで
休ませるのがいい

生き直しが
必要なら
こんな時 ....
争いは
心を
なくす
行為

周囲や
気持ちを
害する
行為

同国人
同士の
争いは
あまりにも
悲しすぎる

みんなで
争いを
無くすよう
願うのが
当たり ....
エホバの女史が冊子を投げ入れ笑顔を覗かせたのです

「私は神を信じていませんが、いるかもしれないしいないかもしれないです」

それを聞くと彼女は深い口をちらつかせまし

たた
たたた
 ....
自慢話うまいひとって羨ましいな
自分のこと話したくても
つい口ごもったりして

自信が無いだけなのかな

たとえばカラオケに行っても
わたしの番になると
他のひと達世間話なんかはじめた ....
「金木犀」

ということばは少し宇宙的だね、って、そうやって笑った。
寒くなってきたね、星がよく見えるから。
長袖でも少し寒いくらいの朝と夜、それを理由に手をつないだりなんて、
そうやって、 ....
かぐや姫 君は昔からいつも
無理難題を要求してきたね
それでも君が笑ってくれるから
わがままも苦じゃなかったんだよ

かぐや姫 一度だって僕が
頼みを拒んだことはないだろう
 ....
そんなに 恋がしたいのなら

    媚薬を飲んで 人混みへ飛び込んじゃえ
手でも叩こうよ
しあわせであっても
そうじゃなくても

しあわせなら
よりしあわせになるように

そうじゃないのなら
少しでもしあわせに近付けるように

できることなら
あなたの ....
無いものねだりをするよりはと
秋の白い雲流れる堤防で
ひとり
清貧ということばの意味に思いを馳せる

それはあまりにも懐かしいことば
仄かなランプの灯かりを頼りに
見果てぬ夢を追い続けら ....
ときどき妻が
キッチンの引き出しの中をのぞいて
笑っているのはなぜだろう
中をのぞこうとして近づくと
あわてて閉めて私を追い払う
みんな眠ってから
トイレに行くふりして
開けようとした瞬 ....
学校に入学して
まず最初に教わったことは
決められた道を歩くことだった
とてもわかりやすくて
楽しい思い出が今でも残る

学校を卒業して
まず最初にわかったことは
決めていく道をつくる ....
暗闇にはだぁくんがいる
たぶん夜行性で
明かりのない部屋とか
夜中の長い廊下とかに
体育座りをして
誰かが来るのを
待っている

照明をつけないで
廊下を歩くと
だぁくんは近づいて ....
リゲイン10本で 240時間 闘える
麻生ゆりさんのおすすめリスト(185)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ぷかり- 恋月 ぴ ...自由詩33*09-4-20
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黄色いクジラ- satyri自由詩409-3-15
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らっかするひと- 恋月 ぴ ...自由詩23*09-2-22
ぽちなひと- 恋月 ぴ ...自由詩24*09-1-3
いたみ- 恋月 ぴ ...自由詩36*08-10-19
初秋- 小原あき自由詩16*08-9-10
有終。- 遊佐自由詩3*08-8-14
あ、め- 小原あき自由詩17*08-7-8
母の声が鼓膜に残った話- 小原あき自由詩16*08-5-29
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