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朝起きると、
夫の蟹を食べる。
水のきれいな土地で生まれ育った夫の蟹は、
沢蟹に似た味がして、
なかなかの珍味である。
蟹は大抵、
夫が寝ている間に、
湧 ....
白詰草の花冠
年上のお姉さんに教わった
作り方
今でも覚えている
手に草の露を付けながら
夢中で編む
その姿は
小さな花嫁のようで
強く生きるその花は
だけど、優しく微笑みか ....
来る日も来る日も
こうやって
涙さえでるのを忘れて
来る日も来る日も
こうやって
焦燥を{ルビ抱=だ}く他仕方ない
去る日を何時も
忘れてしまって
うつくし日々は嗚呼何処
....
手にしたペンが
ここを握れと言っている
真っ白い紙が
これを書けと騒いでいる
すべての物が語りだす
物と心は離れない
物にも目や口や耳がある
その魂を描くとき
それは物語となる
物は ....
少女を演じてるんです ホントは悪女なんです
男はみんなそうです これを好んでるんです
シイナリンゴを聞いてます 毎晩独りで聞いてます
だけど あの人の前では ドリカムばかり唄ってます ....
「未来ってね、
絶対明るいと思うんだ」
そう、キミに伝えられたボクは
今、とっても幸せだよ。
出来るだけ
あとを残さないで
この時間の流れの中に自分をゆだねて
明日で消えるようなあとなら
ただ一時の気まぐれの独占欲なら
この肌に何も残さないで
触れるのさえ怖い
そんな臆病なら ....
生まれて
しまった後ならば、
二度と
生まれて
いけないだろうかと、
ひとりごとだけ
生んでみる
いくつになっても
守られるから、
さびしさは
無くならない
幼なじみ ....
寂しい夜には
君の好きな曲を聴く
すると 思い出すんだ
必ず 君がそばにいて
必ず 一緒に笑い合って
必ず まだ見たことのない
地平線の先について 語り合う
....
夏祭り 寄り添うふたりで 誓い合う 永遠、、、
そんなこと 夢に描いてた 憧れを 胸に抱いてた
瞼に焼き付いた 君の笑顔は セピア色に見え ....
自分の中にある
忘れてしまっていた
言葉のアルバムを
ふと開いてみる
何でもなかったことを
こんな言葉で表したのかと
苦笑いしながらも
あのときの自分には
その言葉が似合っていた
....
三丁目のタバコ屋さんの向かいの家に
春のはじめに女の子が遊びに来ました
少女はギターを抱えて 切なく響く歌声で
僕を幻想の世界へ つれていきます
三丁目のタバコ屋さんの向かいの家で
....
昨日もまた
日めくりの暦が一枚消え
昨日を生きた言葉たちが
静かに眠る
昨日一番生きた言葉は
土の道だった
でこぼことした
それでいて不安定な小石の上を
靴底に刺さるかのような痛み ....
ちんぷんかんぷんの糸が
くちびるの前でもつれて
おかしなことになっている
ちんぷんかんぷんと
口に出して言えば言うほど
糸はもつれていく
ちんぷんかんぷんは
もつれた糸だ
小魚 ....
はじめて
こころのなかに
さいた
たんぽぽのはな
かぜにからだを
ばらまいて
ぶんしのように
げんしのように
そりゅうしのように
たびにでるたび
....
「歪んだ世界」なんて言うけれど
この街は この国は この星は
一体いつから歪んでいるんだ
例えばこの「美しい国」ならば
戦後以降か 明治維新の頃からか
それとも織田信長の登場以来か
更 ....
赤いクレヨンを食べたあの娘は
頭から爪の先まで
真っ赤になった
私は彼女の似顔絵を描いていたので
真っ赤になった彼女を
真っ赤に塗らなければならなかった
ちょうど赤色が ....
部活に疲れた放課後。
少し重く感じる鞄を左肩にかける。
ペットボトルのお茶で、からからに渇いた喉を潤すと、
いつもと違う道を歩いてみた。
最初に感じたのは、放課後になると、夏の匂いがするよ ....
君に会ったら言おうと思ってた
言葉がたくさんあったのに
なんでかなぁ
こうやって目の前にすると
一言も出てこないや
汚い戯れ言や
愛の賛美歌や
気の利いた言い訳や
原稿用紙30枚分ぐら ....
ようこそいらっしゃいました。
選ばれし者だけが見ることのできる世界です。
幻覚ではございません。
これが幻覚とおっしゃるならば
普段の世界が幻覚でないことを
証明する必要があります。
....
ぱらぱらと降っていた雨の間に
少しだけ見えた
澄んだあおいろ
絵の具屋さんには売っていませんでした
とぼとぼと帰る道
水たまりの中に
もう一度そのあおいろを
見つけました
昨日もまた
日めくりの暦が一枚消え
昨日を生きた
言葉たちが静かに眠る
昨日一番生きた言葉は
虹だった
雨が止む間際の
ほんのわずかな時間だけ
光の芸術は空へ浮かび
心に架かる
....
ふと机に落ちてきた虫の
羽が綺麗に光っていた
いつもは黒く見えていた羽は
さわやかに透明だった
何の因果があって
ここに落ちてきたのか
少なくとも自分に
わずかな命の存在を
教えてくれ ....
大切なもの 見えなくなること ときどきあって
失ってから 気づいてしまって 泣くこともある
悲しい想いは したくないの
寂しい瞳は 見せたくないの
どこまでも空 ....
・
初夏の山は
いいにおいをしたものを
たくさん体の中に詰めて
まるで女のように圧倒的な姿で
眼の前に立ちはだかってくる
たまに野良仕事をしている百姓が
山に見惚れていることがあるが
....
モデル崩れで夢遊病持ちのレイナは
月も眠りについた真夏の夜に
四角い空に星を張り付けて回っている
いつか自分も星になれると信じていたけれど
最近は慎ましい結婚に憧れたりもする
プロボクサ ....
この世で一番尊い想いが
醜悪であったとしても構わない
と 言われた事は
私の一生分の涙を掬っていった
美しいものに惹かれる気持ちが綻んでしまったら
もう二進も三進もいかなくて
....
かれたちは恋人たち
けっこんしてない恋人たち
あれはなんという現象なのだろう
人生得意時とでも言えばいいのか
日時計のまわりを
夜歩いていても
ロマンチックな
....
2007/05/16
キンモクセイ
ギンモクセイ
火星の顔した
みどりいろの
緑の花の下の
地球にはない
美しすぎる色
きんもくせい
ぎんもくせい
春に咲 ....
私が孤独であることについて
私はいく度も神に訴えた
神に信頼し
愛すべき人を愛し
忍耐を学んだ
緑の憩いの水際に導いていただけるように
期待し
祈り
信じ
語らった
しかし
....
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