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どういうわけかうちのごみぶくろだけ
いつもあけられてしまって
中身がまき散らされているの

ある日曜の朝
母が困惑顔で言ったとき
それはきっと妹を狙う肉食獣の仕業に違いない
とわた ....
{引用=うずくまる。
からだの表面積をちいさくして
世の中の37%を遮断する。


わたしのまるいふくらみと
わたしのしろいふとももをくっつけて
ひとつ。にすると
やわらかな鼓動を感じ ....
ハーモニカを吹き散らす
日が暮れたさきにあるとがった鉄塔の先を見ながら
いいかげんなよくあるブルースだからって誰も殴りかかっては来ない
ひとりぼっちだからさ
なにを蹴っ飛ばしたって誰もびっくり ....
そして去年
飯島愛の上にも雪が降り

今年
小菅刑務所にも雪は積もり

来年も再来年も
ブロック塀のうえで裸足をぶらぶらしてるみなし子の上に
毛布の無い家の壊れた屋根に
 ....
ムーミン谷に不眠症はない
眠れなくても誰も困らないから

ムーミンママは
もし眠れなかったら台所の整理
夜出てくるトロールたちに
小さなお菓子をこさえてくれたり
あたたかい飲み物をくれた ....
 
 
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
 
+
 
 ....
 
 
綱わたりをしていると
月がきれいだったので
僕はまっさかさまに落ちていった

形の良い吉川くんがそれを見ていて
僕らはレンガ遊びを続けた
吉川くんはレンガをちゃんと地面に積んで ....
街の風景を愛しく想うのは
街が僕の延長であるからだろう
あらゆる物を僕は備えている
爪や血管、汚職や罰金の滞納ですら

何もかも僕に似ている
路地や神社や夕暮れの生殖器
傷跡を覆うように ....
                 081025





くつしたが
くつしたがくつしたがと
悲鳴を上げるので
靴下がと
穴の開いた靴下が
靴の中で欠伸する

石ころを蹴っ飛 ....
      
             081007



オリノコ川に
月が出て
野猿の群れも
眠りについた
静かな雨が降る前は
猫の子一匹騒がない

幻想と否定するだけの
 ....
悲しい歌を忘れられない
あなたがいつか手をのばす
その先に何があるのか
指先は語る事を知らず ただ
まばたきもせずに一心に見つめる
あなたのあの眼差しが欲しいと思う
風さえも忘れる束の間の ....
世界中にできた闇の部分がすごいスピードでずれて
くちぶえが遠ざかり
輪郭線が地平線とまじわりながらかたちをかえて
あたしたちはまだうっすらと汗をかいて
雲の裏側にのびていく光の筋が不意 ....
ポケットティッシュに
詩を印刷して配ったらいい
一枚一枚にでも
広告の裏紙部分だけにでも
やる気ないときは
通りすがりの一人一人に
二ついっぺんに無言で突き出したりね

それでそれもら ....
片手で空中にまるをつくる
親指をくちびるにもってゆき
その場の空気を吸い込む
恐怖も限界も肺にためつつ
決して傾かず真っすぐに息を吐き出す
履き心地の悪い靴なんて捨てちまいな  ....
今年も砂利トマトの季節がやってきた
この県にとって砂利トマトは秋の風物詩
この地球が丸いがためにできる産業
砂利トマトの穴は今日もぽっかりと
磯辺の岩に口をあけてトマトを待っている


 ....
病院で診てもらったら
うどんこ病にかかっていました
お医者さんは
専門じゃないので、と言って
生花店の名刺をくれました



お店のひとは
ぬれた脱脂綿で
手のひらを優しくぬぐって ....
「免許を取るには、年齢位の金がかかる」 

誰かさんが言ってた通り 
33歳にして33万という金を 
母ちゃんは惜しげもなく貸してくれた 

二俣川で筆記試験に受かり 
初めて免許を手に ....
茨の針金に囲まれた 
四角い土地に独り立つ、
蒼白の人。 
棒切れの直立で、丸い口を開けて仰ぐ 


  空の浮雲 


{ルビ人気=ひとけ}無い村の入口で番をする
飢えた牛の、細 ....
マジにミラクルがもうすぐそこをとおるのがわかる

おれたちは
どこに浮かび上がり、
どこに染み込んでいくんだろう

真昼のみずあび
世界で一番きれいな
ひかりのうでが砂をい ....
砂を
体中の空いてる
穴に詰めていく
埋め立てた人工の砂浜の
ほつれたぬいぐるみが
さみしそうに息をしている
「あなたのコドモを産むよ」
と笑い
雨上がりの
草いきれで肺一杯にして
 ....
       余 熱


       そこは
       しろい花が咲いていて
       緑も若やいで うつくしい
       空気は
       いつまでも清澄であり
  ....
てゆーか旅と言ったら死体を探す意味で
凪いだ東京湾の沈んでいるヘドロとか
晴海の奥の草地に放棄されている冷蔵庫の中身に十字架を切る
みたいな
永遠に浮かぶことのない人たちみたく
あ ....
その娘は頬を赤らめることができる
ただそれだけのわけで
マートのレジを叩く少女を愛おしく思った

何故人は人を求めるのかね

一人ではないという幻想
届くことのないテレパシー
真空の宙 ....
剥げてゆく空の下
車輪まわり、まわり
金の音さらに、
さらに遠ざかりゆく
緑金の春に



やあ
俺は
くちべたなんだ
どういうわけだか
とても仲のよいはずの奴と話していても ....
ああ
いくつもの候補があったよ
さくらとか、みかんとか、まりんとか
植物や風景が多かったかな

もう生まれてくる季節なんか
どうでもよくってね
まろんとか、こなつとか、みさきとか
次々 ....
新しい雪の降り積もった
静かな屋根やねが
水平な朝に焼かれて
私の底辺をもちあげる

増幅する光の波が
うずくまる私の手をとり
青い影を洗う

そうして
裸にされてゆく、わたし
 ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる

呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま

ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
ゆうろさん料理をしましたか
ええ、しましたよ
左手 お野菜洗ったので冷えてあかい
右手 あついお鍋を見ていたのでももいろ
今日はどこで
小鳥の巣箱よ
小さなやかんに小さなお鍋
風邪ひいた ....
使い古されたピアノが一台
早朝の小さな港から
出航する

ピアノの幅、奥行、高さ
しかもたないのに
言い訳をすることなく
ただ外海を目指していく

誰もが自分自身のことを語りたがる
 ....
鍋の中で ふつふつと火山活動している  あんこ 
餡火山弾 や餡火山礫 が噴出し 
ひだり手の甲に 
ぽとり、着地 
あとで、ひりり

星と星が  衝突するより低い確率なんて 
そう ....
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