ただそらだけがある
ひとも
たてものも
どうしょくぶつも
わすれて
すみずみまで
ひろがっている
きおくのそとがわから
ことりがいちわきて
はばたこうとすると
そらはきように
み ....
カブトエビ、という
小さな甲殻類がいるそうですが
さっきから門の前では
牛に良く似た人と
人に良く似た牛とが
縄跳びをしています
縄跳びが終わったらあの人と牛に
カブトエビの話を聞い ....
助けてください
何も必要なことはありません
助けてください
これといって助けていただくことはありません
助けてください
大丈夫!!です
助けてください
問題無(モウマンタイ) ....
白ネコの鼻さくら色春の風
まっ赤で
おおきな歌に
くだかれた夕暮れの
かけらをよせあつめて
ぼくはトルソーを
つくった
奄美の島ざらめを
たくさん、うみにながしたら
おおきな涙に ....
父が家に帰ってきたので
お帰りと言って
別の部屋
父が働いた金で
行かせてもらっている塾さぼり
そのまま布団へ
朝を待つ
朝、学校遅れないように
必死で僕をおこす
うるさ ....
窓にはまった網戸を見ていた
それからちゃぶ台の上のスプーン
同じ方向に三本並べられていた
これママの、これパパの、これぼくの
暑かったと思う
そのことで汗もかいていたと思う
数年経って
....
水も{ルビ狭=せ}に 現当眺め {ルビ花筏=はないかだ}
往く時さえも ただほひろかに
わくらばに 行き逢ふ道も ....
わたしは知らないわ
それがどんなに大事なことであっても
忘れてはならないことだったとしても
わたしは知らないわ
うさぎ小屋にはうさぎ
羊小屋には羊
羊の名前は知らない
うさぎには ....
彼はただ椅子にじっと座っている
赤い林檎のあまさは あたしがみつけだすもの
彼を抱きしめるだけの静かで美しい生活を
いつでも望んで生きている
朝日は遠くにかけていき
あたしはゆっ ....
むかし空には大きなバケツがあって
悲しいことがあると人は
そこまで悲しみを捨てに行った
ある日両手いっぱいに悲しみを抱えた大男が
そのバケツをひっくり返して
中身は空の隅々まで散らばってしま ....
夜が更けるころ動物園の園長は
動物たちに泳ぎ方を教えます
本当は水族館の園長になるのが
動物園の園長の夢でした
一番泳ぎが得意なのはゴリラで
それ以外は身体の大きさに関係なく
だいたい普通 ....
?.
木曜日に最後の晩餐をして
金曜日に くちづけられて
磔にされて 血を流して 死んで
三日後に もう一度生まれる
手のひらには穴が開いたままで ....
愛を一滴馴染ませて
晴れ桜 袂に滲む掬い人
花屑浮かび詠み返す歌
流れゆく詩達 恋の行方の様に
“さよなら”を知らない
湖に沈む月に咲く子供達
綺麗な形を愛と呼ぶ
水底に流るる ....
麗らかさウクレレかたと倒れけり
ウクレレの五万のやつが欲しくなり
ウクレレの七万の音泣けるなり
ウクレレの十七万はしびれちゃう
お父さんの背骨の近くを押していく
淋しい箇所がいくつかある
大きくなったら学者かバスの運転手になりたかった
と、よく言っていた
結局学者にもバスの運転手にもなれず
十年前に地方の小さな薬局を ....
帰宅ラッシュだった
階段で圧力に耐えかね
ひょろ長い女の背を
あわあわと胸で押してしまった
(押すなよおっさん!
おっさんではない
武士である
{ルビ法度=はっと}に ....
君に対する僕の心は
ほとんど愛で
蝋燭たてとか
傘たてとか
ドアノブとか
靴べらとか
そういうものに
僕はなりたい
....
おにぎりを 温めますかと 言わぬ店
10℃超え コートを着てる 人がいる
コンビニの 時給が1000円 素晴らしい
ワンルーム ¥75000 意味わからん
草花が咲いて
古いバラの木がアーチに寄りかかり
向かい合った椅子には
誰も座っていないのに
まるで
それで満足しているかのように
風に吹かれている
イイイイイイイイイイイイイ
大丈夫ずっと元気でいられる方法はある
大きく!大きく!大きく!
イイイイイイイイイイイイイ
脳天から左右に割れるよ
口の周り涎だらけになるよ
大丈夫 ....
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