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クジラに呑まれて死にたかった。暗い胎内の小高い場所で三角座り。マッチを擦ったらすこし歌って。誰も助けにこないことがちゃんと分かったら。アイスティーの海にくるぶしから溶かされて。人魚として生まれかわ ....
午後の風がきみの髪をなぜる
ああ、とてもいいにおい
ぼくは小さな蜂になって
きみの、ひまわりの笑顔にとびこみたい
甘ったるく歌ったり
背伸びして空をかじったり
きみの気まぐれな野性に
....
視認性に欠ける水色は、ひたすら直進する境界線の色。どこかに背びれを伸ばすわたしに、そのどちらにも泳げない六番目のセンスがこみあげる。周期表(periodic table)の薄い領域。
いずれは呼 ....
嘘しかついたことがない少年の
嘘をつく顔のまま
ずっと走り続けていた
地球がだめになって
火星も金星もだめになって
木星にようやく足跡をつけたとき
ぼくは笑っていた
光は遅すぎて話になら ....
浸された水は
つめたく
ねがえりもできないほどに
なぜか凍みたまま
あの人ごとをさらって
いって
かなしい
のふちにいるあの人
たしかにいかされ、芽生え
一つの
さむさの中にい ....
ソーダ水の泡
かき氷の雫
スイカ割りの一撃
球児の白球
蝉の羽ばたき
入道雲の高さ
夕立の土砂降り
夕暮れの風
花火の瞬き
祭りの笛太鼓
線香の煙
風鈴の音
....
なんか嫌な予感がして
目を覚ました。
ら、オッサンが枕元に正座しており。
めんどくさいけど突っ込んだら神様だって言う。
これ水木しげるの世界きたよ。
貧乏神か貧乏神だなと問い詰め ....
あたしは、
綿のスカートを翻して逃げる。
誰もいない、
....
バスに乗る
名前だけが剥がれていく
何かの間違い、というより
むしろ略式でも正しいことであるかのように
良かった、わたしたちは
バスに乗られることがなくて
席に座り
バスの一番 ....
チューシャは少女のようにはしゃいでいた。午後の陽射しが強いスジャータ村の大きな木の陰で、普段はサドゥなんかがルンギーとして愛用するオレンヂの布を大地に広 ....
ハチドリたちの季節、タービンは回る、小さな声で歌うように
頭上の日輪のように、熱死しながら、糸を紡ぐ、それは機械
赤い石楠花は大輪のままに、「儚げな」見せかけで、花弁を散らし
ただ地面に積も ....
半熟卵の茹で時間
花ふきんの縫い方
幽霊は鉄塔を登るということ
君に教えられたいくつかのこと
学校でも新聞でも初めて体内を往来した光も
教えてくれなかっ ....
休日のキッチンでイタリアンサラダを作っていると
天井から垂れ下がったホーテンベイリーが僕に囁く
「ちまきにしてしまえ」
しかし僕はちょうどその時
革命に参加しなかった無産階級のことを思っていた ....
薔薇が燃える。――溶ける花びらは血のようであり、
触れてみると、事実、それは血なのである。
派手で濃い目のメイクを要求する。金で買った女だから、
手は触れない。服も脱がさない。君はひたすら喋 ....
唇はそれきり閉じられた。
走れ、――Life Is A Carnival.
水道管のつめたい色。
手を離して、さようなら。
問わず語りのさようなら。
しかし、そこでまだ待っている、僕の少年。 ....
緑色が斬れた錯性の心音に高鳴る、生きたひかりを探してなんかいなかったから、今いつまででも澱み終わらない昨日と同じ寝床を燃やしながら、観る夢が今夜を殺しに来る、、、燃やしてくれはしないのだろう、 ....
囁く水の招きに
おとなしくなってゆく
たのしい夢をみて
かなしい夢もみて
ちっとも貧しくならないから
誰にも聞こえないように小さな声で
誰にも聞かれないように大きな声で
蜂蜜みた ....
水曜は
銀の白凪を透かした
濾過を経た明かりは
目蓋を包んで
埋もれた寝台の
柔らかな浮上へと集まる
はだかの夢見なら
信じることはたやすく
醒めやらぬうち
メレ ....
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