すべてのおすすめ
それは命を宿す なみだをながす そして朽ちる
やがてこどもたちはそれぞれの死を選択せねばならない
たやすく眠らせるようにやってくるのだから
ぼくがあの子を選ぶのに理由なんていらない
指 ....
ときおり四つんばいになってみる
なにか思い出すかしらんと
きしきしからだが鳴く
ないはずのしっぽがふるえる
あたしってちっぽけだにゃん
まわりがとても大きく見えて
痛んでくる腕 ....
銀紙の庭にときどきおりてくる
いつも窓辺に張り付いて僕はそれを朝まで剥がしている
境界線上になった手のひらの上で
それはいろいろな季節だった
たしか遠くまで見ていた
ぼやけた山の頂上で
....
この雨がやむと
そこには夏が立っていて
そのときぼくらは
ぎらぎらした太陽のもと
手をかざして目を細める
見えない大きな力に覆いつくされそうな
恐怖と快感のようなものを
感じ ....
忘却の城そこに幾千の鳥がみえた
ハスキーボイスの列車の合図がよなよな光っている
あてのない景色に空白の深呼吸が漫ろにわすれさられても
息を飲むようなリグレットに寝汗がとめどなく流れる 青 ....
涙は跳ねてイルカになる
そして旅に出るんだって
浴槽のなかで
そう思っていたこと
未だ信じている
真夜中に飛んでいる
飛行機の音を聞きながら
ふと思ったこと
きみのいない世界っ ....
読みつかれて ふと
雨音に包まれて
物思いに耽る蛙と
草むらに潜む
文庫の中は
土砂降りの文字
連なり意味成し物語り
意識下に滲み濾過されて
何を読みたいわけでもなく
....
テーブルから目を離した隙にこぼしてしまった
グラスに良く映っていた星座たちは大丈夫だろうか
せめて開けた窓に都合よく張り付いた夜は
換気するたびにぴらりと剥がれてしまっていた
洗いたてのシ ....
息がとまった
(正確には息ができない状況で
吐いては泡となる気だるい吐息が
きらきらと夕日につつかれているのをみつめていた)
夏の夕方が水槽の底へ沈んでいくのを
わたしはぼうっと眺めながら
....
なにもかも
粉砕
ナイフでは永久に
無理な救いと
手を
つないでいた
椎間板を守りながら飛ぶ
ポリゴンの鳥が
ひきずりだした
わたしたちの赤い国旗
万歳 ....
彼が最初に作った季節は夏と冬だけだったので、秋と春とが生まれたのは誤算であった。
しかし、二つの物事がある場合その境目も同時に存在する、というルールを作ったのも彼自身であったため、彼はその誤算を割と ....
削り落っことした青いひかりの先を歩いていた
背筋をぴんと伸ばした野良猫も野良犬もみんな連れてってさ
錆びた戦闘機からマーガレットが咲いているのを見たのさ
そよ風に誘われるがまま泪はいつ ....
気取らない
月のハンモック
紫のペチュニアの花
そんな夜に
黒い硝子の靴は
何処かしらと
少女は思う
銀色の森を見たかい?
なめらかな手触りの葉を
一枚取ったら
あの子に手 ....
凍えたコンクリートに水が浮き出る
アンモニアのない小便みたいな臭いがする
剥がれた天井のボードの上に見える鉄骨は
もとの色が判らない位に錆びついている
おまえの死んだ理由は ....
線香花火の煙の匂いと
遠く遠くで垂直に昇れば
散らばって消える花火音は
静まり返る部屋で眠ってた私を
呼び覚まそうとするから
林檎色のワンピースを着て
底の低いミュールを焦りな ....
時計は8時30分を指している
海面に凛と立つあなたを
私は海辺から涙をこぼしている
風は灰色だ
漣(さざなみ)を立たせたり
あなたの眼を見開かせたり
していて
宇宙は落ちてきそう ....
時間少女は宇宙浴槽のなかでうたた寝
水浸しの朝はシャンパン雨のなか
ブーツに子猫がいて可愛がっている
見えない月をおもいながらはしゃいでる
桃色のブランコ漕いで黄昏の光景のなか
滲んでいるき ....
朝に
殴りつけられて
君は
目を覚ます
ほんの少しの痛みと
ほんの少しの希望
昨日始まったことは
今日も
続いている
だけど
明日には
どう ....
クレヨン僕は毟った
クレヨン吐く息が
いつもと違う
無言のクレヨン、なぁ
喋りたがっているのは
僕かクレヨンか
僕は
刺さってたずっと。
その微睡んだクレヨンが
その色が何色か
....
海が
めくれてゆく
いくつもの
いくつもの
海が
めくれて
岸壁から
追い縋って
宙を泳ぐ指先に
紫貝のように
閉じる音楽
(母は海に還ったのだ
街が
たわ ....
置忘れたチェロのように
湿気た香気を曳きづり
レモンの輪切りに一瞬、鮮明になる
あなたの狂気ほどの余韻
そのなかに
モーツァルトのタクトが
華奢な骨格に納められる
青白い石膏のくちびるか ....
夏休みの音楽室
四階までかけあがって防音扉を開けた瞬間の熱気みたいな
背中を伝う汗はつららみたいにきもちよかった
あのね
グラウンドを行き交う少年たちの未熟で雄々しい掛け声よりもアンサンブルの ....
水 海がガラス越し燃え上がって落下している
silverland
風がひかりお前の鎖骨にけだるいキスの雨
飛んできえたギリシアの星にけぶる声
そいつらは大喜びしている
私 ....
聖堂の夜会に踊りに行こうと、あなた以外の右手が誘い出して、音をたてて破裂した日の名残り。俯かせた顔の影絵。錆びた蛇口みたいに固まった猫が見つめ。
{引用=祈りとオリーブ色がまじった夜がゆらめき始まる ....
水色の残像
音響と臓器
独り歩き
輪郭を辿って
わたしの腕は
真空の中の
宙を這う
イノセンス
無色透明?
多色世界?
意味を徘徊しても
文字の乱射と
ヒカリだけが
悲鳴 ....
おっぱい
おっぱいがすきだ
まえかがみになったとき
えりもとからのぞく
おっぱいのあたまがすきだ
ぶらじゃーがかぱかぱして
ちくびまでみえたららっきーだ
おっぱいがすきだ ....
きみの腹を
綺麗な
正方形にくりぬいて
そこを通して僕は
桜吹雪が舞うのを眺める
蒼い春にも
暗い冬にも
きみの正方形から
桜吹雪が舞うのを ....
綿毛の海で泳ぐ
後ろ姿を探す
秋の始まる午後に
あたたかさとつめたさの両側から
等しく守られていることを知った
星の人から届けられる
言葉によらない通信を
言葉に変 ....
そう、散らかった部屋。僕の体重に沈むクッション。回転する夜の底から、聞こえてくる羽ばたきの音。反響するサイレンと、赤い光に祀られた地球儀。骨の浮きそうな、肩。世界をデッサンする指先が、背中に子午線を引 ....
君からの
たっての願いだった
僕は右手で黒ボールペンを握り
左手で君の口を開き
頬の内側の
赤く柔らかな肉の上に
文字を刻んでゆく
インクがつくは ....
1 2 3