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愛情のひとつまみ
塩をふたつまみ
今日もあなたは笑顔で笑う
声にならなかった
あらん限りの力を込めたはずなのに
例えばそれは
孤島に取り残されたおとこがひとり
遥か水平線に見え隠れする
船影を
蜃気楼だとはなから諦めているかのように
もし ....
夏の名残を雨が洗うと
淡い鱗を光らせたさかなが
空を流れ
ひと雨ごとに秋を呟く
九月は
今日も透明を守って
焦燥のようだった熱や
乾いた葉脈を
ゆっくりと
冷ましながら潤ませ ....
目をつむっても変わらない灰色
空気の高笑い
換気扇のおと
埃すら愛しく肺を犯すこの部屋で
メランコリーが発情した
愛してる
安いね、いくら？
なんて戯言
一人でリピー ....
夕暮れのバス停で
鳥になるの、と
呟いたきみの背には
小さく
ほんの小さく、翼が生えていて
ぼくは思わず
溜め息を吐いてしまった
砂時計の砂を飲み込んで
時を止めようとしたことを ....
こたつの中で
何本もの足たちが
陣地を取り合っている
頃
まどろみはそっと
瞼をノックして
心地好い終わりに
私を包もうとしている
目をしばたかせて
現実を直視
....
人がいなくなって
街はしばらくざわめいてあきらめて
そうして日が暮れた
ある冬の日
おれはおまえを探している
茶色い瞳は星と月だけを頼りに
上を向いた鼻はおまえの匂いをた ....
ある日突然地球がダメに
なっちゃったりして
どこにも行くあてがなかったら
火星移民計画を
一緒に実行しよう
（月のうさぎが手を振っていたら）
（ちょっとだけ振り向いてあげよ ....
どこか遠くへ行きたい
どこでもいい
歩きではなく
自転車がいい
遠くへ行けるだろう
速く進めるだろう
風を感じるだろう
風を切るその瞬間が大切だから
どこか遠くへ行って
道に座っ ....
あっぷるいろに、そまる
いみたちをよこめに
とりは、うたう
はなも、うたう
すなはうたえないから
なみにこころよせ
わたしをみつめる
ちからづよ ....
何でも消せる消しゴムがあったら
何を消しますか？
みんなに問いかけてみた
妹は“猫のひげ”と言った
理由はチクチクして痛いかららしい
僕にはなついてこないので解らないが
“痛いのな ....
