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折鶴の
{ルビ誰=た}に習ひしか忘れしも
{ルビ右手=めて}と{ルビ左手=ゆんで}に刻まれし
{ルビ貴=あて}なる鳥の影形
{ルビ盲=めしひ}となりぬこの身にや
神の言の ....
Aカップ 水着泥棒のみぞ知る
夏は涙を流してくれない
秋
瑞々しい草木の
しなやかな手に雫を落とす
冬
食卓のある窓の
鈍色ガラスに雫を垂れる
自分たちの体温に気づいた時
季節は泣いてくれる
....
地獄に堕ちた時のために
蜘蛛でも一匹
助けておこう
イヒヒヒヒヒヒヒヒ
蜘蛛を探しに山に出かけた男は
崖から落ち
今 ....
てのひらから
指折り数える時間の粒があふれ出す
指の間からぼろぼろ零れ落ちる速さは増し
掴み取るのが追いつかなくなる
焦って
その姿を子供たちに見られていることに
また焦って
わたしの欲 ....
手作りの街並みは
連続的な曲率を忘れてしまっている
その中に欲しいものはなく
わたしは
資格参考書と
一握りの雨粒と
友人にお裾分けしてもらった溜め息の入った
鞄を提げて
求めたい ....
無邪気な夏を疑いもしなかった僕らは
教室にひしめいて
このなかから将来
プログラマになるやつが
出てくることも知らず
なにかを求めて
なにかを積み上げ
なにかをこねまわし
なにかを ....
みんなの幸せを願った言葉を
みんなに届けようと
誰の顔も見ることなく
誰の心も見ることなく
蒼い天に放った
不自由な言葉は重力にひかれて
わたしの顔にへばりついた
ひっぱった ....
乳母車の乳児のバイバイに
こたえた手
布の端をひとかがり
だっこされている乳児を
泣かせた作り笑い
布の裏に斜めの縫い目を見た
横断歩道を渡る小学生に
掲げた手
布 ....
月の裏側が見たいと
弟が呟いた
瞳はもう
赤方偏移を繰っているように
白兎を歌って
憧れと諦めをわたしに託して
弟はもう
腐りかけた足で
旅に出ていた
痛々しいほどに頑張りす ....