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ここには海がないのです
人をあざける海鳥たちの鳴き声のかわりに
杉森をこごえさす雪の白さが
躊躇いもせずに町をみたしている

知らないもの同士が連れ添うような
紅茶のカップを二つ温めながら ....
海の向こうから来た手紙
躊躇わない見慣れた文字が、
心に触れるのです
確かに
生きる意味があるように
昔を思い出す、力が湧いてくるような

元気でいらっしゃるのですね
少し怒りっぽい
 ....
ちいさな声
まちがいでなく
そんな
気がしたのです

さくらの木の下で、
ぽつんと
咲きほころんだ
黄色いクロッカスの花に、
そこだけ、せっかちな春がやってきていました

“Ye ....
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その時は
あなたのその手で いっそ
あたしを殺してくれますか

それができぬのならば
最初から好きにならずにいてください
恋心とい ....
「そっか。そうだね。見つかっちゃったんだ」
 サッカーの練習から帰ってきたHiromiは、Sayoの話を聞くとそれだけ口にしPenneの頭をなでていた。
 Sayoは大きな旅行用のバッグを持ってく ....
「ひどい臭い、あなた、部屋で何やってんの。魚の缶詰でも作っているんじゃないでしょうね。ここは、食品工場じゃないんだからね」
 そこまで言って、Sayoが口を開き、そこから出される答えを待っている。そ ....
 Penneのサポーターが取れるのに、三日かかった。
 アザラシの面倒は、夏休み中のHiromiが見てくれたが、週二回あるサッカーの練習に連れて行くわけにもいかず、その間は昼間Sayoがアパートにい ....
 部屋に戻るとHiromiは、リビングの三人掛けのカウチに座ってテレビを見ていたが、その横でPenneが大きな潤んだ瞳の顔を上げ、Sayoが部屋に入ってくると、娘と一緒に光沢のある灰色の顔を向けた。
 ....
 Sayoは、マネージャーのスティーブに子供が病気だと言って、二日ほどの休みを取った。
 スティーブは、夏の忙しい時期にサーバーやラインのコック達が休むのをひどく嫌がるのは知っていたが、今までろくに ....
 リビング・ルームのテーブルには、油まみれの四角いカード・ボードに、ピザが二かけらだけ残り、もう白いチーズを固くしいびつな三角を見せていた。
 Hiromiはウォーフでの母親の話を聞くと、そんなこと ....
 白いタイルが弾く光の中で海獣は、毛皮に包まれたくたびれたピローに見えた。
 他にどこにも連れて行くあてなどなかった。
 娘のHiromiは、Sayoがアザラシを背負ってアパートの部屋に戻ってきて ....
 ためらうことなく男達の目の前で白いブラウスを脱いだ。白いブラジャーのほっそりとした体に陽がいっそう白く肌に弾けた。
 そして膝をおとすと、すぐにそのブラウスをアザラシに着せ始めた。
「スカートも ....
 背のほうでどさっと物が投げ出される音がして、続いて、男達の声がした。
「こいつ、どうする」
「生きてんのか?もう、くたばってんだろ」
「さあ、生きてるかもな。海に捨てるしかないだろ」
 Sa ....
 夜のシフトのサーバー達と入れ替わりに、Sayoは店を出た。
 週末のダウンタウンは、車の数がぐっと減っていて、それだけでも何かほっとする。ダウンタウンの西側には入り江があって、それに面する辺りは、 ....
 Sayoはもうこんなことを三年もやっていた。
 森を越えてやってきたここは、都会の雰囲気のある町で、少なくともダウンタウンには背の高いビルがあり、州立のバスが走り、スーパーマーケットで買い物ができ ....
 この店でサーバーの仕事をし始めた頃、最初は、オーダーのとり方もトレーの持ち方さえも戸惑っていたが、それも、すぐ慣れたのは何か水商売の天性があるのかもしれないと、Sayoは思ったりする。昼の仕事は、夜 .... 「アレン、あたしはヴァージンって言ったはず。これはウォッカはいってんじゃないの?客が文句言ってるわ。子供が酔っ払ったって」
 Sayoは男に大きな声を張り上げた。店の中は、コンテンポラリーのジャズ・ ....
瞳をひからせるものの
やってきた さそい 

ちいさくて人肌ほどに、
もたらされる快適な乗り心地は 羽もうのよう
やさしくて

     ☆

厚誼にかしぐ 昔ながらの従順さがあ ....
生田 稔さんの月乃助さんおすすめリスト(18)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
水仙の惑い- 月乃助自由詩23*11-2-8
手紙- 月乃助自由詩21*10-6-12
- 月乃助自由詩14+*10-1-31
「恋情」- 月乃助自由詩12*10-1-4
「波の声をきいて」(13)- 月乃助散文(批評 ...5*09-10-30
「波の声をきいて」(12)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-29
「波の声をきいて」(11)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-28
「波の声をきいて」(10)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-27
「波の声をきいて」(9)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-26
「波の声をきいて」(8)- 月乃助散文(批評 ...3*09-10-25
「波の声をきいて」(7)- 月乃助散文(批評 ...3*09-10-24
「波の声をきいて」(6)- 月乃助散文(批評 ...4*09-10-23
「波の声をきいて」(5)- 月乃助散文(批評 ...3*09-10-22
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「波の声をきいて」(2)- 月乃助散文(批評 ...2*09-10-19
「波の声をきいて」(1)- 月乃助散文(批評 ...1*09-10-18
made_in_Japan- 月乃助自由詩10*09-10-5

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