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ありとあらゆる人生よ
ひとりだけでも
今日は雨
歩道橋に傘が咲く
名もなき花のかなしさよ
ふたりだけでも
雨ならば
きっと今日も
恋の雨
青信号はあの人の
赤信号は僕の雨
 ....
幸せになるために
不幸が少し
足りませんでした

不幸になるために
少しの幸せも
いりませんでした

それなのに
幸せになりたいとは
誰ひとり
言いませんでした

幸せになる ....
五月が
裏口から入ってきて
玄関から出ていくところだったので
私は少し呼び止めて
今こうして二人でお茶を飲み
別れを惜しんでいます

何もはなさずに
はなすことなどもうなくなったから ....
鼓動する
線路上の心臓の
信号ではじまる旅
信号で終わる旅

点滅する
信号の果てにある
命の駅

信号は
出会いの青だから
別れの赤だから

動脈と静脈が
行き交う街に ....
小学生の頃、父と釣りに行った
昼過ぎから夕方まで
魚は一匹も釣れなかった

はら減ったべ?

タバコを吸いながら父は
僕にそう聞いた

きゅうにおなかが空いてきて
おもわず
 ....
グッバイベイビー
きみはまだ
そこにいるのかい

トンネルを抜けると
そこは
まだ雨が降らない
東京駅だった

高層ビルが
山のように建っていて
お洒落だった
遠くの景色が霞 ....
君が牛乳なら
僕はコーヒーだった

国道4号線
右折しても左折しても
そこは鎖骨だったから
かならずてのひらで行き止まりだった

行き止まりの
てのひらを握りあって
 ....
野球を見に行った

試合の途中
本日の入場者数がアナウンスされて
僕が生まれ育った町の人口ほどだった

思わず観客席を見回すと
そこには
懐かしい人ばかりいるような気がした

当 ....
あれは
神さまの涙だったのです

亡くなった人のために
涙を流してしまったのです

その涙の川で
溺れて亡くなったのです

私たちが
神さまでした

泣き叫ぶ人はまだ
川のよ ....
悪いことをしそうな夜は
思い出として残ってる

悪いことをした夜は
事実として残ってる

ただそれだけの違いなのに
昨日も、今日も、明日にも
かならず夜はやってくる

あな ....
時間の音がする

何かと思ったら
雨漏りだった

いつのまに
雨が降ったんだろう

いつから人は
泣くことを覚えたんだろう

雨の旧道を走り去る
一台の車の
静けさのように
ニホンオオカミが
絶滅したのだと言う

友達がいないかわりに
家族を愛したのだと言う

満月の夜は
月に向かって吠えたのだと言う

満月だけが
友達だったのだと言う

ウ ....
スーパーマーケットの
牛肉コーナーに牛がいる
豚肉コーナーには豚がいて
鶏肉コーナーから鳩が逃げた

野菜コーナーを
案山子が何も言わずに
見つめている

店長と人妻店員が不倫した
 ....
神様がホームに立つと
いつのまにか
列車がやって来て
旅は始まる

次の駅は
あなたです
ホームセンターで
出会ったやかんが
思ったよりも
紳士だったので
結婚した

その時代
ホームセンターなんて
あったの
母に聞くと
母は結婚写真を
持ってきた

やかん売り ....
灯油売りの少女が
トラックでやって来る
代金を渡すと
あんなに灯油を持ってるのに
手はこんなにも
冷たい

いつかストーブ売り場で
少女を見たことがあった
ストーブをひとつずつ見て
 ....
空泳ぐ魚が水面に映ってる

せせらぎの声が今日は風邪ぎみで

光る瀬に低空飛行の戦闘機

居眠りの私を蟻が巣へ運ぶ

川の瀬に溺れる私の夕まぐれ

さようなら魚が跳ねて言いました
新車のマグロに乗って
市場にマネキンを買いに行った
一番新鮮そうなのを一体買って
醤油色の帽子をかぶらせたり
わさび色の下着を着せたり
山芋色のコートを
羽織らせたりしてるうちに
お腹が ....
バスが停留所を見失って
行方不明になったことをニュースで知った夜
しばらく停留させてほしいと
誰かが私の家を訪れた
誰かと思ったらあなただった
あなたは風呂の小窓から
夜空を走るバスを指さ ....
つむじまがりさんの小川 葉さんおすすめリスト(19)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
恋の雨- 小川 葉自由詩108-8-26
いらないもの- 小川 葉自由詩4*08-7-23
五月- 小川 葉自由詩608-5-20
鼓動する信号- 小川 葉自由詩4+*08-5-19
タバコの思い出- 小川 葉自由詩808-5-3
グッバイベイビー- 小川 葉自由詩7*08-4-22
あかさたな限界- 小川 葉自由詩4*08-4-18
野球観戦- 小川 葉自由詩1208-4-15
致死量の涙- 小川 葉自由詩4*08-4-10
左手に右手を添える癖- 小川 葉自由詩3*08-3-27
時間の音- 小川 葉自由詩4*08-3-26
ニホンオオカミ- 小川 葉自由詩308-3-25
カニバリズム- 小川 葉自由詩3*08-3-21
神様- 小川 葉自由詩5*08-2-26
癇癪ガール- 小川 葉自由詩3*08-2-16
灯油売りの少女- 小川 葉自由詩208-2-7
さようなら- 小川 葉俳句607-7-16
鮮度- 小川 葉自由詩207-7-13
停留所- 小川 葉自由詩407-7-3

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