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耳に雨音
瞳に滴
触れるたび
肌はやわくなってゆく
身じろぎもしないで
硝子一枚に隔てられて
雨に囚われているのだろう
雨を除ける力など
もってはいないから
ここでじっとしている ....
燦々と
そそがれる陽を
うけての青
朧々と
つめたい雨に
うたれて紫の
移ろう色は
六月と七月の境界を曖昧にして
暦がめくれたことにさえ気づかず
深い場所で息する哀しみに黙す ....
夜にまぎれて
雨をみちびく雲の波
朧気に月は
触れてはいけないものがある
ということを諭すように
輪郭を無くし遠退いてゆく
深く、
深く息をして
雨の降りる前の
湿った空気の匂い ....
いまここに
来たるべき夜の紺青は
誰しもの
奥深くに眠る
逃れられない
悲哀の色をして
春はいつのときも
悲しみ覚えたかたちを
おぼろに映すから
すこし涙もろくなる
さ ....