舞台裏
山中 烏流

使い捨ての帽子に
ミルクティが付着して
私は
何故か、はっとする
 
余りは沢山あるからと
笑いながら言う
これが人間だとしても
あなたは
笑うのだろうか
 
 
白いメッシュの生地に
じわじわと
染み込む薄茶色は
 
私の瞳を
そっと引き摺りこんで
視線をずらすことを
許さない
 
 
汚れてしまったね、と
ゴミ箱に放り投げては
新しい帽子を
何の躊躇いもなく
取り出す
 
これが人間だとしても
あなたは
何の躊躇いもなく
新しいものを
選ぶのだろうか
 
 
ゴミ箱から
薄茶色の染みが
私を睨んでいる
 
私は
見て見ぬふりをして
その帽子を
ゴミ箱の底へと
押し込む
 
 
あなたは
大丈夫なのだろうか
 
私は
大丈夫なのだが。


自由詩 舞台裏 Copyright 山中 烏流 2007-08-01 21:32:06
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