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丹念に温めた躰を
その一粒は意図も簡単に
冷やしてゆきました
とんとん、
からん
流れても流れても
肌は通わず
なぞってもなぞっても
白に触れることは
許されません
....
何年前のことでしょう
冬の枯れ枝に
雪が花を付け
陽の温度と引換に
白肌は氷と散った
何ヶ月前のことでしょう
雪の川辺に
冬が根を張り
せせらぎの冷気と交わして
風に花を誘わせた
何日前のこ ....
雪が、
降っています
言葉と思い出は、
頑なな部分をゆっくりとほぐして
今なら素直に打ち明けられそうな
柔らかな予感を抱かせてくれました
静かに雪が、
足元を埋めていきま ....
安っぽい愛など求めていない
奪われた者の負け
焦がした者のエゴ
負の作用に従ったなら
正当化すべきではなく
むしろ認めるだけの愛嬌が欲しい
高価な愛など必要ない
与えられるだけの退屈
中身の薄い虚 ....
小指の先ほどに小さな炎でも
肩を寄せ合えば
暖かい
ときに
大きな炎に体を預け
読書を嗜むもいいだろう
大きさでも形でもなく
たとえ細々としていても
そこに灯火があれば
....
水溜まりが広がってゆく
落ちて
溶けて
零れて
散った
か弱い雲が満ちてゆく
解けて
崩れて
巻かれて
弾けた
屋根が哀しい音色を拾う頃
軒では波紋が跳ね返り
....
『せんせい
あのね、
きりかぶのかげに
あさがおをみつけたよ』
とってもきれいで
なつかしくて
すごくうれしくて
なきそうになったよ
だってね、せんせい
なつのはじめ
ちいさなプランターに
みんなの ....
本当はね
この手で貴方を
守りたかったんだ
本当はね、
胸の奥のピュアな部分で貴方を
愛しぬきたかったんだ
本当はね。
この命を賭けて貴方を
支えたかったんだ
本当はね、
本当はね。
全て ....
掴んだ袖先の感覚
少しずつ触れていく記憶
心の棘が零れてゆきます。
愛おしいと想えば想うほど
見えない旅路が怖くなる
恋しいと呟けば呟くほど
過ぎた海路に不安が浮かぶ
しないはずの後悔に言 ....
素直は真実
伸びゆく蔦のごとし
言葉は時に不安と化し
想いは常に苦悩を招く
失いし光には、闇
授かりし闇には、光
交互する反面の賜り
汝の笑みこそ
己の幸と知り
安らかなる御霊のおぼろ
....
わずかに残る雪の側で
ひっそりと春を告げる花
小さく纏まってゆく姿に刹那を抱き
精一杯の可憐を刻む
この雪の
命と共に消える花
残された時間を数えるような眼差しで
そっと寄り添い咲いている
繰 ....
桜の淡さ
光陽に咲く
冷たさを残す入り口で
若葉と戯れる春風は
蕾の鼻先をくすぐった
弾ける音が聴こえてきそうな
澄んだ青空の下
起きているのか眠っているのか
定かではない雲と ....
舗道が、濡れていく。
霧雨の小さな粒が、
少しずつ少しずつ洗っていく。
踊り始めた足元の波紋は弱く、
止む気配の見せない水脈もまた弱い。
傘も差さずに佇んで、
薄暗い空と浸された舗道を交互 ....
月日を重ね
くたびれた場所
君が転校していった夏から
笑いの消えた空間
何故だろう
僕は足を踏み入れていた
懐かしさは記憶を再現し始めて
君と僕だけの遊びを
君と泣いたトキを
僕と挑戦したコト ....
驚きは
予想もできないほどの不安定な鼓動を
寄せた
運命のイタズラと呼ばれる不可思議な時間が
崩れた階段を修復していく
小さなボタンを押す指
明らかに弾んでいて
意地の張り合いを ....
愛されたかった
そう、愛されたかった
居場所が欲しかった
帰る場所が欲しかった
安心して眠れる場所が、欲しかった
違和感を蹴飛ばして
思い込みをぶん殴って
....
瞳を反らされるたびに
鈍い音が響きます
背中を見送るたびに
激しい刹那が襲います
近付く距離の真実は
遠退く距離を意味し
追ってはいけない足跡と知りました
決断の揺らぐ一瞬に
泣けない弱さを ....
もしあなたが
どこか遠くのほうで
泣いているとしたなら
わたしには
すり寄ることも
包みこむことも
その涙を
掬ってやることも
難しい
伸ばした腕の先に
あなたを見つけ
躊躇う指の先で
あなたを撫で ....
痛み
胸
傷と呼べば嘘になる
負うを認めれば
悲劇に拍車がかかる
麻痺
緩和
傷と呼ぶにはおこがましい
痕を受け入れれば
強がりは陰を落とす
傷など負っていなければ
抱え ....
買って嬉しい華一文女
まけて悔しい華一文女
女の華道、地獄道
血の海に咲く儚い花火
氷を抱え見据えた瞳
生き抜くための身投げ京
男にゃ天国
女にゃ地獄
売られて買われ極楽の
夢も希望 ....
薄暗い辺りにひとり
寂しさに浸りながら
窓際に体を預けて
想いの途切れた一瞬に
光がまつげを掠めたから
思わず顔をあげたんだ
そこに映る光景は僕を
余すことなく飲み込んで
透明 ....
もし、ひとつだけ
願いが叶うとしたなら
君は何をおもう
僕は、距離を想う
埋める術さえ持ち合わせていない
淋しさばかりが募る日々
いつかと信じて眺める星に
君への愛を捧げては
冷たい風を握り返す ....
望まずとも
夜は明け
再び影は落ち
また陽は射す
変化など求めずとも
何事に同じものはない
目を凝らし伺わずとも
心は知っているだろう
日々と
自分に向き合うということは
案外
簡単な事かもし ....
面影の降る冷たい夜が
頬で溶け始めた頃
銀河鉄道は
子ども達の寝顔を乗せて
空に昇っていった
星の麟粉を散りばめながら
ゆっくりとゆっくりと
滑車を回して
月へ昇っていった
影を伸ば ....
白が舞う
便りを乗せて
幾重にも積まれ
やがて
銀と化す
肌を刺す冷たさに
誰かを想い
また
指先の凍えた深い夜には
誰かを惜しむ
白い息は気休めの温もり
見上げ ....
掌に溢れる
小さな小さな
名前を持たない海は
誰かが忘れた
いつかの涙
そっと還した砂浜に
魅せた幻想は
いつかの真実
風舞い香る
刹那の宴
海をなくした掌は
冷たさと戯れて
指先を転がしている
....
黄昏を刻む夕の空
安堵する私の隣で
照れくさそうに笑う貴方を
可愛いと思った
優しい雨が降る
今宵もまた
優しい音が降る
『会いたい』を
窓際に並べて
滴る粒が拾う頃
同じ音色を聴けたらと
指先で辿る想い画
出来事を再生する
他愛もない ....
認めてしまうと苦しくて
感じてしまうと切なくて
だから
胸と肌の一部を削除して
空白で埋め尽くした
時間をずらして
目を逸らして
記憶を丸ごと塗り替えたなら
振り出しからやり直せそうな
儚い安楽を ....
金色の野に魅せられた夕刻の空
どこかで産声をあげ
どこかで、
永い眠りへと就いた
心の奥底は昔
表面は今
曖昧な生の狭間で
何を見、
何を聞き、
何を残す
手元 ....
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