すべてのおすすめ
{引用=刻む秒針の 大時計の音が気になるので
夜中の階段を昇るのだ
光る猫や人形の目を避けるように
しずかに しずかに 足音たてず
針はとまる
真夜中に僕の亡霊は 音のないダ ....
長いこと 時間はたった
ずいぶんと 睫毛も 声も 痩せてしまったね、と笑う
それすらも
全部両手で抱えて持ってゆきたい 日常の風景のひとつだった
おぼつかない足取り ....
{引用=雪見大福サイズの
雪見大福みたいなうさぎたちに 羽がはえて
ぶーーーーん って
いっぱい空を飛んでる
なんだかあわててぶんぶんしているので
いっぴき 飛ぶうさぎを ....
きみの一日を 僕は知らない
きみが毎朝買っているパンの味も
きみが気にして飲んでいる健康ドリンクのことも
きみが僕に隠れて嬉しそうに読んでいる新聞の四コマ漫画のことも
きみが髪を無造作 ....
{引用=ケンタウルスの夜に
ケンタウルスの夜に
星屑を降らせよ
砂糖菓子のように甘くかたまって
壮大な橋をつくれ
研ぎ澄まされた露を舐めて
硝子の角を指先に絡ませて
....
その坂の上は外人墓地になっていて
少しだけ風がそよぐ。
港町を見下ろすその場所で、
土の上に居場所をなくした人々が 眠っている。
その風を、汗に濡れた指先でなでるのが好きだ。
....
春の雨になりたい
あたし 春の雨になりたい
あなたはすぐに 春の砂にまとわれて
その嵐の中に {ルビ荒=すさ}ぼうと揺する
小さなオルゴールの中に
こころ を 忘れてきた ....
あおしんじゅの森は
樹海の森だったし
あたしはその結晶を とても美しいと思った
粒の小さい 白い涙のようなそれは
体に悪いと知っても
飲み込み続けるよりなかった
ゆるい雪のよう ....
彼は 物書きだった
彼は古いランプを持っていて
ほかには何も持っていなかった
紙も
ペンも
なにも持ってはいなかったのだけど
彼は物書きだった
パリからオルレ ....
あめのなかに
ゆきのまじる
ぶーげんびりあの
かねのねの
音のあまつぶ
しらゆきまじる
むすめはやらない
むすめはやらない
{引用=三つで病に
五つで迷子 ....
「もう無理なんだ・・」 と
電話の向こうですすり泣く男の声を聞きながら
鳩サブレーの袋を破いた。
バターのきゅんと効いたこの銘菓を、私は好きだ。
ぼりぼり。
むしゃむしゃ。
....
ピセラン ポエリア 鳥の歌
あたしが夢の扉を叩けば
ピセランポエリアが 眠りのはじっこを
嘴でついばんで そのままぐんぐん飛んでいく
ピセラン ポエリア 鳥の歌
....
{引用=映写機の音がする}
彼は 人のいない小さな劇場の
古く湿った 客席に座り
白くぼぉっと光るスクリーンを見つめる
{引用=ただ、かたかたと廻 ....
ちょっと遠くまで 一人旅してきます
行き先はブルゴーニュ地方 はじめて行きます
街の真ん中にある ノートルダム聖堂の
ケルト信仰と錬金術に関係があるって噂の 漆黒のマリア像に
....
{引用=
クラヴィ・ヴィエイヤールは小さかった
どのくらい小さいかというと あなたのまぁ 半分くらいで
俗に 小人と呼ばれる 種類の人間だったのかもしれなかった
けれど
....
私たちはふだん
地球の反対に住んでいるので
会うには 大陸や 時間や お金や
たくさんのものを越えなくてはなりません
仕方ないので
手っ取り早く待ち合わせ
....
声を漏らさぬよう
唇を噛み締めたら 甘かった
なにせあたしの血は 苺シロップでできているし
あなたなんかに 舐めさせてあげない
ほっておけばすぐ すっぱくなる ....