じつをいうと
わたしはつねづねなにかをねがっているんです
そうして ひなたは
うつるんですが・・・・
わたしは ....
バリかどこかで爆弾が破裂する
ヒズボラの少年が銃口を覗き込んで笑顔をこぼす
ダルフールの少女が破れた胸元を必死で隠している
日本の少年が注連縄で首をつる
そんな風にして
僕はおな ....
あなたへ手紙を書こうとする時
暗闇を映した窓に
例文が訪れます
「あなたとは
もう何も無い」
私は絶対に
そんなことを書きたくはないのです
ありえないほど光に満ちた
未来を思 ....
街灯の並んだ道を
一匹のかぶとむしが
低空飛行して進んでゆく
信号か何かの
赤い光を受けて
目玉も背中も
海老のようにぴかぴかしている
かぶとむしは
曲がり角で
ゆっくり ....
洗濯物を取り込む音が
二階のベランダから聞こえてくる
言い争うことも無く
君はもう産まない
とつぶやいた
僕らは同じ悲しみを
分かち合って生きる
多分同じくらいの
分かち合えな ....
生きるのは/疲れましたと祖母が言う/空に刺さった冬の三日月
死にたいと/言えてしまう程わたしは自由/くたばることの出来ない自由
黄昏る/冬の寂しい路地裏に/孕んだ放火魔が火を産み落とす
....
小さい頃は
家の絵ばかり描いていた
庭付き一戸建て
という物質が
人生の最終形態であると
そう思っていた
今でも
画用紙を与えられれば
わたしは庭付き一戸建ての絵を
あの頃より
....
山になった洗濯ものの回りで
君は
春のような
スキップを踏む
{引用=おうちを買わなければ、よかったね
だって、お金持ちだったんでしょ?
たた、たたん}
ちいさな袖をそろえて
重 ....
宿題が終わらん
全くぜんぜんまったく
終わらん
まるでまるでまるで壁
俺当たって砕けて食われる
あまりにも終わらんから
しょうがなく俺はシャーペンに命吹き込まんといかんね
しょうがな ....
雨の糸の隙間に
夜は満ちて
ストーブの熱が
そこだけ幸福とでも言いたげに
ほんのり春を創っている
きみと並んで傘をたためば
二人の水滴は
余分な約束事のように散らばって
冷えた ....
土日祝日月曜日
そんなシキタリは忘れました
造園家好みの素直な体躯
私の嫌いな南京櫨
秋風にやらしく揺れながら
葉を猛毒色に染める
とうだいぐさ科は大抵
どこかに毒があるもん ....
ワンピースをきた女の子が
お札を両手に持って
これはお駄賃ですよとその手を差しだす
この手は子どものようにちいさい
ゆるやかな曲線を描いて両肩から
ちいさなバレッタに目をやると
わたしの視 ....
雨の中を
迷子の少年が傘を差さずに立っていた
誰かがそばにあったタオルを
子どもに渡してあげた
人のタオルを勝手に使わないで!
持ち主の声がその場に響く
頭を拭き終えていない少年 ....
落第してゆく大人たちを
進級してゆく子どもたちが
通り過ぎてゆく
落第する大人たちは
進級することは過去にしかないと
思いながら
冷えた体で下を向いて歩いてゆく
丸まった背中が小さく ....
毒されたと言うのか
見る目がないと言うのか
君は
どさくさに紛れている
心は足元にあって
首は鞄の中にあって
見つからない見つからない
どこまで腕を這わせても
見つからない ....
申し訳ございません。
気概が不足しておりました。
すぐに補充いたしますので
そのままの格好でお待ちください。
申し訳ございません。
矜持の寸法が違っておりました。
すぐに裁断いたします ....
・
しゅんじゃく神社
と云う神社をみかけた
春寂神社と云う字である
煮過ぎた菜っ葉を
噛んだときの音みたいだ
と思った
神様も春は寂しいんだろうか
・
教習所の帰りに
落ち ....
イデア、イデア
数学的な点は目には見えないんですよ、先生
「まったく勝手なことをしてくれたね」
薄く色づく唇をとがらせてゆく(うるおい)
ぬくぬくとしたイメージがひろがってゆく
かたちになれ ....
子持ちパンクは二十歳になるところで
子持ちパンクはマリアって言うありふれた名前で
子持ちパンクはもう刺青がきらいで
子持ちパンクはお菓子の刺青シールが好きで
子持ちパンクは ....
霧もやにまかれて朝は訪れる(エンドロールもオチもない夢)
>>ダィァリーつけてるんだぁ(絵文字)ね,見たぃ!?(絵文字)大事な項は山羊にあげましょ(絵文字)(絵文字)
....
うは
お前の言ってたとおりだ
あるよ
間違いのない木漏れ日和
信じられないほど柔らかに吹く風も
明日を語らっているような
木の葉のさざめきも
目を奪う光の木漏れ日も
あぁ
なんか ....
外の風に吹かれて
眠る夜はいいものですね
遠く夜汽車の音を
聞きながら
私は線路に耳を当て
旅立っていく汽車の音が
消えるまで
いつまでも聞いている
そんな姿を
まどろみの中 ....
雨が降ってくると
金沢を思い出します。
金沢は年間六十日しか
晴れの日がありません。
大体曇りか雨です。
空はいつも
ブルーグレイの薄雲がかかっています。
雲のない ....
泣きたいだけだ
ただ泣きたいだけだ
けれども理由が必要らしい
1000字相当の空欄を埋められずに
「ただ泣きたいだけです」と書いて出したら
担当のひとは怒った
「お ....
受験を控えた少女が
堪えきれずに道端で
脱皮を始めた
その横をダックス・フントが通る
かれは短足を気にして
朝夕ぶら下がり健康器を
使っているのだけど
伸びてゆくのはもちろん
足じ ....
ある日
少年の中に
戦争が充満する
少年の中に
潮騒が充満する
少年の中に
愛情が充満する
少年の中に
故郷が充満する
ある日
少年の中に
憎悪が充満 ....
見覚えのない住所から
冬の匂いの封筒は届き
記憶の引き出しから
銀のペイパーナイフと
あらん限りの想いの欠片とを
わたしは交互に取り出す
かさり、と開くと
月夜の薄明かりのなかで ....
やりたいことがあるならば まず目標を定めて
自分の棚卸をしなさいと
本に書いてある
棚卸とは会計で使う言葉で
自分が何を受け取ったのか
自分が何を支払ったのか
自分の元手は何か
自分の返 ....
・
林檎は何時でも
小気味よい音を立てて
裸になってくれる
こんな女の人がいたらいいなと思う
十月の昼間は少し暑くて
隣家から
おもいっきりテレビの音声が聞こえる
シンクには
小腸み ....
時にいじめられるようになってから
ぼくはずっと生きる方法を考えていた
道ばたのカエルのように
いらない知識は全部捨てて
ぼくはこころで生きるために
こころには生きていて欲しいから
今日こそ ....
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