すべてのおすすめ
僕は男だから
産む痛みを知らない
同じくらいに
産まない痛みを知らない
痛みなんて知らない
ここは戦地ではないから
僕はあなたではないから
幸せになる方法を知らない
幸せにする ....
荒んだ感情に とがった心で
向き合えば互いに傷ついていく
しょせん人間はこんなもんだよ
エゴでヒトを傷つけていく
戦のない平和な世界を 望めど叶いそうもない
いつの時代も 戦争や殺人 ....
夜行列車の車窓。
夜明け前の雪国。
宙に舞う風雪。
山々の裏に潜む朝陽に
うっすらと浮かび上がる
ましろい雪原。
( {ルビ転寝=うたたね}の合間
( 車窓の外に離れて浮 ....
今、発車前の夜行列車のなかで
この手紙を書いています。上野駅
は昔から無数の人々が様々な想い
を抱いて上京する駅なので、昔と
変わらぬ空気が今も残っている気
がします。
先程、少 ....
もうひとつの空の下には
空想好きの少女がいた
彼女は瞳の中で
小さな星を育てていて
世界からこぼれるように鳴るメロディーに
詞をつけては歌いながら暮らしていた
詞の中では少女は
....
やわらかにゆれる春
少し冷たい足の裏に
わくわくが止まらない
見渡すれんげ畑の向こうを
単線の汽車がゆく
わたしの知らないどこかとどこかが
つながっている
小さな花 ....
人は空を飛べない
けれども
人は空を見て夢を描ける
飛べなくても
しっかりと地面に踏ん張ればよい
人は宇宙を泳げない
けれども
人は頭の中で宇宙を創れる
泳げなくても
{ルビ颯爽 ....
珍しく田舎から餅が届いたので。
食欲は無かったが食べないのも申し訳ないから。
焼餅にでもしようと箱から三つばかし取り出し。
オーブントースターに並べて焼いたみた。
すると餅の入ったダンボール箱 ....
春めくのか夜になると
もぞもぞするもの
それは
あなたのつくしんぼう
今夜のわたしは疲れているのに
背中を向けた闇のなかで
何かを探し蠢いている
辛抱が足らないから
貧乏なのか
芯棒 ....
上司の心ない一言に火が点いて
職場のちゃぶ台をひっくり返した日
しょんぼり夜道を歩いていると
通り道のボクシングジムから
ばす ばす と
瞳をぎらつかせたぼくさーの
ひたむきな ....
死ぬときって
今までの人生を思い出すって言うじゃない
君が亡くなるときに
君と出会ってからの いろんなこと
どんどん頭の中に浮かんできたんだ
君が亡くなったとき
もう愛することは やめ ....
僕がまだ小学生だった頃。
父と母は毎日の様に喧嘩をしていた。
母は父の稼ぎの少なさを貶し。
父は病弱で働きに出れない母の不甲斐なさを責めた。
『お父さんとお母さん離婚するかも知れない。 ....
ノロウイルスの流行で
デイサービスの部屋はすっからかん
いつもにぎわう30人のお婆ちゃん達も
いつのまにやら5〜6人
職員は皆マスクをして
消毒液にひたしたぼろきれで
あち ....
そこに花がある
名前は知らない
けれども
その花にしかない色がある
それだけあればそれでいい
そこに鳥がいる
名前は知らない
けれども
その鳥にしかない翼がある
それだけあればそ ....
あなたから初めてもらった
可愛いお人形のついたオルゴール
小さな 小さなオルゴール
とても嬉しかったの
机の片隅に そっと飾って
ねじを回すと
踊りだすお人形
綺麗なメロディー流れた ....
うたた寝をしていた
週末の終電を降りると
駐輪場に一台
自転車は倒されていた
それを黙って立て直し
冷えたサドルに{ルビ跨=またが}って
軋んだペダルを今日も漕ぐ
人 ....
冷たい風は
そのまま冷たくて
ぼくの身体を凍えさせてゆくけれど
この寒さを乗り越えなくてはと
ぼくを熱くする
冷たい風は
さらに強くなって
ぼくの身体を固めてゆくけれど
この辛さを ....
ようやく晴れた青空に
風船がひとつふたつ みっつ
きっと誰かの夢にちがいない
あそこの空からも
風船がひとつふたつ
いつの間にか
空には風船でいっぱい
大きいものや小さいもの
....
雨の中を
迷子の少年が傘を差さずに立っていた
誰かがそばにあったタオルを
子どもに渡してあげた
人のタオルを勝手に使わないで!
持ち主の声がその場に響く
頭を拭き終えていない少年 ....
本当はあなたと一緒に
花壇を作りたかったのだ
ともに暮らす家だとか
肩を並べてドライブする車だとか
そういったものはどうでもよくて
ただ花壇を作って花を育てたかったのだ
だから花は好き ....
失恋は感傷に浸るためにある
そんな捨て台詞
あなたは残し
ひとり、わたしは取り残されて
遠く過ぎ行く機帆船の陰に
絶望の甘い涙を流す
(白い砂浜で貝殻ひとつ拾った
身体の隅々にまで刻まれ ....
明日と書かれた本が
売られていました
中を開けることができないその本が
不思議と気になって
ふと買いました
明日と書かれた本を
買ってきました
中を開けてみるとその本は
不思議にも ....
Ⅰ
小さな日だまり きらきらと
光のカーテン揺れている
小さな日だまり ゆらゆらと
そこだけ光の輪ができた
誰にも内緒教えない
あれは妖精の輪なんだよ
妖精たちが踊っている ....
雨が降り続く秋の中で
公園のベンチは
誰も腰かけないまま
しっとりと濡れてゆく
何もない無の空間に
わずか一瞬だけ
背もたれにスズメが立ち止まる
雨が降り続く秋の中で
公園のブラン ....
この窓を開けると
いつでも夕暮れを見ることができます
橙色の空と感傷的な思い出たち
それらのものがいつでも見ることができるのです
今真っ赤な夕日が
水平線の彼方に沈んで行きます
あれは ....
風ひとつ
赤い首輪の放浪者
立ち止まって後ろを振り返るのは
淋しさを断ち切るため
お行きよ お行きよ
赤い首輪の旅人よ
風は追い風 君の味方さ
淋しくなんかはないはず
お行きよ ....
おはようございます。
(みつとみ)は晴れた日が続かないと元気がなくなるようです。
そこで。
道ばたで(みつとみ)を見かけたら、
鉢にいれて、水をあげて、
晴れの日はテラスやベランダに置い ....
ムーンは名犬ではなかった
おれが不良にからまれたとき
まっさきに逃げた
のびているおれのそばにきて
目のよこの傷をなめた
ムーンは名犬ではなかった
堀内と土井と高田の
サインの入った ....
いらっしゃいませ
私は涙のアメ屋さん
このアメはいかがです?
悲しみの涙を集めました
しょっぱいけれど
スッキリしますよ?
このアメはいかがで ....
この坂道の途中に
大きな金木犀の木があります
毎年秋になれば
そのやさしい香りに足を止め
この木を植えた人を思います
開け放された窓からは
ピアノの悲しげな音が響きます
赤茶けた壁に ....
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