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口に酸素を含んでから
目を閉じて
美しい光景を思い浮かべる

すると酸素は舌の上で
ばらの味の二酸化炭素へ変わる

誰かがわたしに口づけしたときに
いい気持ちにれなるよう
 ....
老朽化の進んだ体育館は
二階に観客席が付いていて
死んだ蛾や蝉がたくさん落ちていた
わたしは
つま先の赤いうわばきで
それらの死骸を踏み砕き
空へ近づこうとするかのように
一人でそこへの ....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....


そろそろ着陸する
と云うので
五人の宇宙飛行士たちは
めいめい
色鉛筆や携帯電話や文庫本やマニキュアなどをしまい
いやいやながらも手をつないで
着陸に備えた

しかしそれ ....
左手しかポッケットに入れられないのは
右手で傘を持っているためで
少し泣きそうな顔をしているのは
暗くなると君を思い出すからである

急ぎ足なのにけして駆け出さないのは
帰り道の途中に墓場 ....

友人に
擬態する癖のある女がいる

よく家の中で
かくれんぼうをする
二人で
わたしが鬼で

十数えて振り返ると
家の中はしいんとして
空気がうす青い
百年前からこうし ....
りんごは優しく指を濡らし
珈琲は
のどぼとけを笑わせながら
そっとすべりこんでくる

隣のうちのベランダに
タオルケットが干してある
いつから干してあるのだろう
もうずっ ....

曖昧に舌を含んで
ただ笑った
あなたの考えている事は解らないと
言われたから
悲しむだけの隙間も無くして
ただ笑った
薬は二週間分出たから良かった


フォークを持つと
人 ....
望光憂輔さんの吉田ぐんじょうさんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
誰かのことばかり考えている- 吉田ぐん ...自由詩7+07-9-14
赤いうわばきとたいくかん- 吉田ぐん ...自由詩2507-9-7
書店で働くということ- 吉田ぐん ...自由詩73*07-4-25
家族制度(又は宇宙旅行)- 吉田ぐん ...自由詩1307-1-9
種々の理由- 吉田ぐん ...自由詩2107-1-6
癖のある男女- 吉田ぐん ...自由詩2107-1-2
単純な留守番- 吉田ぐん ...自由詩906-10-12
びょ、ーき- 吉田ぐん ...自由詩1306-10-4

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