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時間の音がする

何かと思ったら
雨漏りだった

いつのまに
雨が降ったんだろう

いつから僕は
泣いてたんだろう

雨の旧道を走り去る
一台の車の
静けさのように
時間の音がする

何かと思ったら
雨漏りだった

いつのまに
雨が降ったんだろう

いつから人は
泣くことを覚えたんだろう

雨の旧道を走り去る
一台の車の
静けさのように
おとうしゃん、おとうしゃん
三歳の息子が僕を呼ぶ

お父さん。

一瞬
低い声で
青年の眼差しを見た

もう彼の大人は
目覚めはじめてるのかもしれない

おとうしゃん、お ....
僕の訃報が届いた
過去の僕から僕宛に
確かに僕は死んでいた

魂を添付して返信すると
僕は静かに目を覚ます
とても狭いところ
近くでお経の声が聞こえる
瞳の岸辺に
釣り人がやってくる
かなしみの主を釣るために

まつ毛が雨に濡れている
湖水が溢れて川になる
大地の鼓動が震えている

釣り人は帰っていく
明日もまた来るだろう
かなし ....
風が吹いてるのではなく
人が吹いているのだ
居眠りしながら
遠いところまで吹いていくのだ

街に春が訪れたなら
それは誰かの夢のはじまりなのだ
気配を感じながら
やがて知らない街へ夢 ....
人が生まれる
前のことを
死んだ
とは言わない

人が生まれて
生きたから
死んだ
と言うのだ

今日も定刻通り
汽車が来る
セーターを
頭からかぶって
泳いでいた

はるか彼方の星の
海の底から浮上する
あなたの異星人の声は
不可思議に遠い

その孤独は
宇宙の果てにある
母さんと
船に乗ったことがある
遠ざかる港を見てるうちに
母さんはいなくなって
そこにいたはずなのに
かもめが一羽止まってる
少し辺りを見まわして
ふたたび見ると
遠ざかっていく
か ....
胡麻が大好きで
ついに胡麻になってしまった

喜んでいたのもつかの間
胡麻は胡麻好きな人に
食べられてしまった

それがはたして
人だったのかどうかは
定かではない

いずれ ....
橋はもうないのに
人は渡っていくのだった

橋の向こうには
もう誰もいないのに
それでも会いにいくのだった

いつからか
橋を渡り終えると
振り向く癖があるように
空の裏側に世界がある
もうひとつの
僕らが生きた
かつての空がある

悲しんでる
そこで死んで
ここで生きてること
彼らは何も知らない

開けっ放しの
誰もいない窓の外
子 ....
息子を公園に連れていって
一緒に滑り台で遊びながら
あんな時もあったな
なんて思う日がくるんだと思う

仕事が忙しくて
一緒に遊んであげられなくて
お父さんきらい、なんて
言われた時も ....
人は
二本足で歩く

不安があると
片方が立ち止まり
もう片方は
少し先で待っている

希望に向かって
息を合わせて
前へ進む

立ち止まる
その向こうにも
二本ある

 ....
窓にうつった空が
本当の空になって
一枚ずつ剥がれていく

窓にうつった僕の顔も
どうやら本当の
僕らしい

雲が僕を覆いつくし
悲しくなって
雨が降る

窓を開ければ星 ....
背中に波紋がひろがって
さかながまずしい
呼吸をしている

ふりむいた目の底で
大きな鋏のザリガニが
餌をつかまえてる

僕はあなたの胸に飛びこんで
懐かしいいのちの水の中
ど ....
街角で意味が言葉を待っている

路地裏で言葉が意味に迷ってる

大通り概念だけで埋め尽くし

僕はただ謝りたかっただけなのに

街並みに黄昏れはじめた君の影
少し伸びた髪のあたりから
あなたは植物になって
黙ってしまった

毎日少しずつ水やりをして
葉だけが生い茂り
花はまだ咲かなかった

自分でやったのか
間引かれた葉が
土の上に冷た ....
自転車のタイヤがパンクしたので
中からチューブを取り出したら
古い友人が出てきた
すっかり雰囲気が違って
歳をとったのか
顔にはたくさんのしわがあった
飴をくれる癖があったので
すぐ ....
空の上で
少女たちが
花をちぎっています
あなたが窓辺で
ぼんやりと
見つめている雪が
それです

春になれば
空の上で
花は咲きません

すき、きらい、すき、が、
言えなく ....
還ってきた
眠りの海から
少女たちが
空の窓をひらく
光がくる
鳩がくる
少女たちの鳩だ
待っていた
この朝を
この命を
おそろしいほどに
光を浴びて
はかないほどに
人に ....
海を見ると
懐かしさがこみあげてくるのは
きっと私たちが受け継いできた命が
すべてを知っているからなのだ

私たちの親が見た海
そのまた親が見た海
さらにおよそたどり着くまで
私たち ....
さみしさのようにあり続け
やさしさのように消えてしまう
鳥はいつも
そんな隙間に巣をつくる

おだやかな空のもと
揺れる木陰の向こうには
静止したままの朝
さえずりはまだ
誰に気づか ....
しずかな曲線を描いて
落ちていく
最後の一日が
地平線のあたりで

手を握り合う
もう二度と
離れてしまわないように

やがて朝がくる
信じるよりもあきらかに
疑うよりもたやす ....
いつか
目の前の少女が
いなくなる
そんな未来のことを
考えていた

少女は僕に
やさしく微笑んで
お似合いの白い帽子を
空高く飛ばした

落ちていく帽子を
目で追いながら
 ....
雲は
空のことが好きなのだ

ある晴れた日
どこからともなく
雲はやってきて
やがて空のすべてを覆いつくし
ひとりじめにした
そして泣いた

泣いて泣いて
涙がかれたら
雲はあ ....
水道の蛇口から
船の汽笛が聞こえる
船に乗った
親子の会話が聞こえる

いつになったら
港に着くの
少女の声がする
父は黙して
母はかもめを指差して
話をそらした

遠い昔
 ....
少年は
言葉の世界に暮らし
少女は
意味の世界に暮らした
地平線には
さみしい遊具があった

あれからどれくらい
年月が過ぎたのだろう

錆びついてしまった
心のように
ち ....
地平線の上で
ブランコに乗っている
少年がある日
そのこちら側に
来てしまった

ブランコは残されたまま
速度をうしなわずに
今も揺れ続けている

地平線のこちら側には
意 ....
地平線の上で
縄跳びをしている
少女がある日
その向こう側に
行ってしまった

縄は残されたまま
速度をうしなわずに
今もまわり続けている

地平線の向こう側には
言葉のい ....
未有花さんの小川 葉さんおすすめリスト(97)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
時間の音[草稿]- 小川 葉自由詩2*08-3-27
時間の音- 小川 葉自由詩4*08-3-26
おとうしゃん- 小川 葉自由詩5*08-3-21
Re:- 小川 葉自由詩2*08-3-10
釣り人- 小川 葉自由詩408-3-7
春風- 小川 葉自由詩408-3-6
汽車- 小川 葉自由詩708-3-2
宇宙セーター- 小川 葉自由詩408-2-29
かもめ- 小川 葉自由詩308-2-29
胡麻- 小川 葉自由詩208-2-28
- 小川 葉自由詩808-2-23
空の裏側- 小川 葉自由詩308-2-22
日々の隙間- 小川 葉自由詩808-2-17
- 小川 葉自由詩208-2-14
窓の空- 小川 葉自由詩108-2-13
潜水- 小川 葉自由詩108-2-6
君の街で- 小川 葉俳句308-2-2
夫婦- 小川 葉自由詩408-1-28
命日- 小川 葉自由詩408-1-18
かたおもい- 小川 葉自由詩508-1-11
鳩時計中毒- 小川 葉自由詩2*08-1-10
海の記憶- 小川 葉自由詩408-1-6
鳥の隙間- 小川 葉自由詩808-1-2
大晦日- 小川 葉自由詩607-12-31
白い帽子- 小川 葉自由詩307-12-31
雲が泣く- 小川 葉自由詩1107-12-26
旅客船- 小川 葉自由詩907-12-24
地平線- 小川 葉自由詩207-12-22
少年- 小川 葉自由詩307-12-22
少女- 小川 葉自由詩707-12-21

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