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はじめて
家族旅行に行った
夜の宿で
そこは二楽荘というんだけれども
楽しいことは
一つや二つどころではなく
三つも四つも
心配など
なにもなかったから
いくらでも夢中にはしゃ ....
 
誰も知らない
丘の上に
時計台があった

誰も知らないから
動いても
止まっても
知らないのに
時計台は
時を刻み続けた

真夜中
僕らが見てる
夢の時を
正確に
 ....
 
いろんな空が
ひとつの空で
暮らしてる

言葉もなく
言葉ばかり集めて
あの頃
僕は
何を見てたんだろう

こんな空がある
あんな空もあった
そこで
暮らした日々よりも ....
 
太陽のない
惑星の
生きもののように
夢を見てる

漆黒の意識の中
聞こえない
囀りと
見えない鳥

あの空も
雲も
地平線と
沈みゆく太陽さえ

目を覚ます
 ....
 
友だちの
りんご畑から
りんごを盗んでしまった

十数年後
街でばったり
友だちに会った

一緒にお酒を飲んだ
ふところには
あの日のりんごが
ひとつあった

りんごは ....
 
川の向こうに
黒猫がいる
こちらをじっと見てたのに
いつのまにか
居なくなってる

遊歩道でひろった
小さなノートをひらく
知らないことばかり書かれてある
わたしは石に
名 ....
 
 
鏡のしくみ


ふたつの世界を隔て
ふたつの世界を結ぶものがある

手をふれるだけで
抱きしめることはできなかった

今日はピーターが
誰かをさがしてる

鏡のむこ ....
 
神社の階段を登る
人を追いかけて
無意識のまま
僕も登る
人になっていた

声が聞こえる
それは
ヒグラシの声かもしれないし
その日を暮らした
僕の声かもしれなかった

 ....
 
そのむこうには
休日がある
わたしたちのための

いったい何を休めばいいのだ
と男が言い
いったい何から開放されるの
と女が言う

お墓の土から生まれた蝉の幼虫が
羽化するの ....
日曜日の午後は
ここからはじまる
たくさんの
命の庭

話したり
話しかけられたり
平日とは違う
あんパンを
ほおばってみたりした

午前中
僕は眠っていたので
午後は
知 ....
ある日家に帰ると
コインロッカーがあった
お父さんも使っていいのよ
妻が言うけれど
いったい何のために使うのか
僕にはわからなかった

それでも
次々とうまっていく
コインロッカー ....
雨が歌ならば
それはどんな傘でしょう

歌のような気がするだけで
それはふるえる
息継ぎの音
近すぎた鼓動の足音

声を聞いた
傘の下で
たしかなこと

待ち合わせた雨の庭 ....
年月とともに
町並みが変わるように
この畑も
様子が変わっていった

ビニルハウスは
引越しを繰り返し
屋根の下で育ったものは
町へ出荷され続けた
そのことだけは
変わらずに ....
真夜中
港まで自転車で走る
橙のあかりが点々と
その下に一人
また一人と
釣り人が並んでる

釣れますか
聞いても誰もこたえない
みな透明だから
二人乗りしてきた友人も
いつのま ....
ゆめのとちゅうがいまならば
ねむるわたしは
だれだろう

ゆりかごのなか
ことばのいらないせかいで
わたしをみまもるのは
だれだろう

めをさまさないように
あくむにうなされないよ ....
空から新聞を配達した
鳥が
雲の匂いをさせて
日付変更線をまちがえて

落ちてくる
少しずつ速度を上げて
時はわるびれた様子もなく

記事が
ところどころ切り取られていて
それ以 ....
上昇する空に
なすすべもなく
はじめて聞く翼の音に
耳をかたむけた朝
土は懐かしく湿り気をおびて
無数の記憶が飛び立つと
残された孤独の夜が
夢の中から
僕を見降ろしてる
 
その奥にはいつも
僕がいた

誰かの家があって
誰かのように
そこで暮らしていた

その奥にはいつも
T字路の
道がふたつあった

僕はその部屋にいた

時々わからなく ....
にごり水のすきまには
とてもせまい空席が
すみわたる空の波の間で
ゆりかごのように待っている

にごればにごった水のまま
にごる理由もわからずに
残されたその空席を
赤子のようにゆら ....
盆地を走る列車に乗って
窓から景色を眺めると
かつて僕の世界には
奥行きと幅
高さだけがあったのだ

あの山の並々に
目指す高さがあったのだ

今はその山の向こうの
知らない海が
 ....
鏡のしくみで
生きている

笑うと
鏡も笑ってる

光の世界で
くしゃみした
永遠の
瞬きのように
長さが
ちょうどいいので
いつもその道を歩いた

長さは長さ以上に
距離ではなく時間だったから
帰る家もなつかしい

廊下の床がゆるんで音が鳴るのは
散歩と人の長さが
同じ距離に ....
何かが
桜の木にぶらさがってる
よく見るとそれは
何か、というよりも
転勤してきた
部長さんであることかわかる

かわいそうに
あんなにあかく染まって
誰もが桜だと思う

帰り ....
グッバイベイビー
きみはまだ
そこにいるのかい

トンネルを抜けると
そこは
まだ雨が降らない
東京駅だった

高層ビルが
山のように建っていて
お洒落だった
遠くの景色が霞 ....
世界がひとつになると
さらさらと
砂の崩れる音がする

幼い頃
ひとり布団の中で
聞いた音と同じだった

朝、家族に
おはようを言う

こんなに幸せな朝なのに
さらさらと
 ....
春なのに
鈴虫が鳴いてるようだった
古くて白い建物の
裏の方から聞こえてるようだった

この庭で
子供たちとよく遊んだものだ
木がひとりごとを言って
泣いてるようだった

帰り ....
はかいされたまちが
きおくをとめて
しにたえる

あのかぜは
どこへいくの
きいてもだれもこたえない
どこでもないところに
さっていくから

きこえてくる
はるのあしおと
はき ....
耳をふさぐと
潮騒が聞こえる

その向こうから
誰かの悲しい
声が聞こえる

耳をふさいでいた
掌をあわせて
真実に触れてみる

変わらないことと
変わることは ....
新しいものが
古いものを
見おろしてる

とても高いビルだ
天井のすぐ裏に
空がある

人の高さでうがいする
海の底で死に絶える
名前を持たない
魚のように

今朝はまた
 ....
悪いことをしそうな夜は
思い出として残ってる

悪いことをした夜は
事実として残ってる

ただそれだけの違いなのに
昨日も、今日も、明日にも
かならず夜はやってくる

あな ....
未有花さんの小川 葉さんおすすめリスト(97)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
未来がまだ懐かしかった頃- 小川 葉自由詩508-8-28
夢の時計台- 小川 葉自由詩308-8-28
故郷の空- 小川 葉自由詩408-8-21
夜球- 小川 葉自由詩5*08-8-20
りんご- 小川 葉自由詩708-8-15
梅田川- 小川 葉自由詩2*08-8-9
鏡のしくみ- 小川 葉自由詩308-8-4
神社- 小川 葉自由詩4*08-8-2
ビヨンド- 小川 葉自由詩5*08-8-1
休日- 小川 葉自由詩708-7-21
コインロッカー- 小川 葉自由詩6*08-7-6
雨の日の庭、傘から聞く風景- 小川 葉自由詩4*08-6-29
- 小川 葉自由詩608-6-21
- 小川 葉自由詩1108-6-18
ねむりのせかい- 小川 葉自由詩208-6-11
あさっての新聞- 小川 葉自由詩3*08-5-24
無数の記憶- 小川 葉自由詩508-5-22
T字路- 小川 葉自由詩408-5-15
水の空席- 小川 葉自由詩4*08-5-13
盆地- 小川 葉自由詩7*08-5-10
鏡のしくみ- 小川 葉自由詩308-5-8
むずかしい散歩道- 小川 葉自由詩1108-5-1
花見- 小川 葉自由詩208-4-25
グッバイベイビー- 小川 葉自由詩7*08-4-22
砂の音- 小川 葉自由詩808-4-9
壊さない人- 小川 葉自由詩3*08-4-5
かぜのきおく- 小川 葉自由詩408-4-1
潮騒- 小川 葉自由詩3*08-3-31
水面- 小川 葉自由詩508-3-29
左手に右手を添える癖- 小川 葉自由詩3*08-3-27

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