草野春心



  木もれ陽を少し切り取って
  フローリングの上にそっと並べた
  緑色のきらめきが心に滲んで
  手のひらに新しい血が通う



  表面的な話をしよう
  未だ触れてさえいない
  世界の遠い岩肌について
  呆れるほど思弁的な話をしよう



  乾いた靴音が混沌を奏で
  宇宙の五線譜に彩りを加える
  歌ってはいけない 聴け
  その白い骨が黴びてしまうまで



  床に並べた木もれ陽の剥製
  それは本当にお金では買えないもの
  必死で覚えたはずの あてどない一つの言葉を
  ぼくは粉々に砕いて風に還す




自由詩Copyright 草野春心 2007-11-20 07:29:00
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