すべてのおすすめ
眠気眼のサラリーマンは
今日も大きなあくびをする
長いコートに包まれた
少し猫背なその背中
「いってらっしゃい」と声をかけたら
「いってきます」と言って
背筋をピンとのばした
....
膝の上の猫
まるで愛おしい生き物でも見るような目で
わたしを見てにゃーと鳴くの
通り雨降る、夏の午後
その視線を
すり寄ってくる体温を
振り払いたくてそっぽを向いた
うっとう ....
その人には顔がなかった
ゆっくりと動く喉仏
見なくても分かる 嗤っている
高い位置から嗤っている
私の苦手な目をして
私の苦手な言葉を紡いでいる
その人には顔がなかった
....