すべてのおすすめ
こんな夜、
一人浅い夢から目覚めて
窓外を揺れる葉擦れのざわめきに
わずかに明るむ緩やかな月光に
胸に満ちて来る何ものか
心を澄ますと潮騒の響きに似て
耐えきれなくなる 抑えきれなくなる
....
あなたがいってしまった次の朝
庭の隅に赤いバラを植えました
赤いバラの蕾から
黄色いつばめが飛び出します
私はつばめの背中に乗って
雲の向こうへゆくのです
虹はリボンになって
風 ....
その人の
麦藁帽子の影落とし
額の重さが
夏になった
緑の山に響くのは
わたしの声か 呼子鳥
夏の滴りに濡れそぼち
わたしはわたしを呼んでいる
遠い風に乗り響くのは
わたしの夢か 呼子鳥
それともあのひとのささやきが
わたしの耳もと ....
夏の野は沈黙の果てみつめあう
だけのくちづけ唇に蝶
じっとして壊れないよう忍び寄る
白い羽には光だけ射し
言葉などもはやいらない君をつれ
夏の丘へと逃 ....
蜘蛛の巣──繊細に張りめぐらせたレースの装飾
怖いもの知らずの蝶が飛び込んで
ゆれる ゆれる
蝶の羽も絡まる糸も光っている
ゆるやかな午後の陽に なお光を保ち
街灯に蛾が群れている
明滅する明かり
雲がさあっと横に分かれて
月が顔を出した
誰もいない
蛾がひっそり群れている
角からぽーんと勢いよく
何かが飛び出した
赤いビニー ....
ごらん、
と指さしてみる北星座
黙ったままの唇を花のように開き
言葉ではなく感覚で知るものがたり
静寂だけが支配する夜だ
暗い森を裸の足で駆け抜け
青い草いきれの洗礼を受ける
星 ....
兄のように
慕ってもいいですか
あなたの気高さに
ひれ伏したいのです
青年のように目尻を光らせるあなたに
すべての世界を見せてほしくて
あなたの淋しさを癒す水になり
あなたに抱きしめられ ....
桃の産毛がこそばゆいので
黄昏は早くやって来る
桃の実を齧ると
甘い果汁が口なかに広がって
心をほわんと幸福にしてくれる
この愛らしい実のように
私もすこしは
やわらかくなったか ....
(ヴァンサン)
窓の外に君の姿が見える
やわらかい草を裸の足裏で踏みしめて
君はこれから川へ泳ぎに行くという
もう透き通った水は冷たいというのに
君は白い歯を見せて
{ルビ銀葉=ぎ ....
陽ざかりに
影がゆれる
塀の上に
白樫が緑の枝をのばし
陽ざかりに
光がゆれる
そこに咲いている
荒地野菊の花
寡黙な額に
風が吹き
みつめる心も
そっと ....
かつてお前はあんなに
力強く 熱く燃える目をしていたのに
風のように自由で その歌声は若々しく
どこまでも駆けていけたのに
お前の炎はかくも色褪せ
かきならす竪琴は銀のささやき
お前は{ル ....
ピアニストの繊細な指だ
白い鍵盤をすべってゆく
まるで水鳥の夢見る羽ばたきにも似た
あるいは
まだ見ぬ色彩を生み出す画家の
狂おしいまでにあざやかな指先
{ルビ天地=あめつち}を踊る風の曲 ....
ajisaiさんの石瀬琳々さんおすすめリスト
(14)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
玻璃の海から
-
石瀬琳々
自由詩
20*
07-7-13
夢色幻想
-
石瀬琳々
自由詩
13*
07-7-5
影落とし
-
石瀬琳々
自由詩
16*
07-6-19
呼子鳥(よぶこどり)
-
石瀬琳々
自由詩
20*
07-6-14
沈黙と蝶
-
石瀬琳々
短歌
14*
07-5-25
光まとい
-
石瀬琳々
自由詩
17*
07-5-22
月夜
-
石瀬琳々
自由詩
25*
07-5-17
夜の儀式
-
石瀬琳々
自由詩
14*
07-1-30
兄のように
-
石瀬琳々
自由詩
15*
06-11-17
桃の黄昏
-
石瀬琳々
自由詩
10*
06-9-21
ヴァンサン、夏の終わり
-
石瀬琳々
自由詩
13*
06-9-8
ゆれる
-
石瀬琳々
自由詩
16*
06-8-29
オルフェの夏
-
石瀬琳々
自由詩
12*
06-8-25
美しい指
-
石瀬琳々
自由詩
18*
06-8-19
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する