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夜も更けて
もうすぐ
最後の曲の余韻につかまって
奴等がやって来る
隙間だらけの言い訳で
目隠しした僕の回りを
ゆっくりと巡り始める
イヤホンの内側で突然に
発 ....
闇の東が
ほの白く潤んで
密やかな色と匂いが
滲み出す頃
花は
膨らみ過ぎる喜びに
身悶えしながら
目覚め
人は
濁った夢の浅瀬を
溺れながら
まどろむ
やがて ....
すみれ (慎み深さ)
わずかに開いた窓から忍び込んだ夕暮れが
あなたのためらいを紫色に揺らした
思わず抱き寄せようとする僕の熱を察して
あなたは微笑みながら瞳で拒ん ....
デージー (無邪気)
他愛ない君の言葉がそよいで
僕の唇の端に小さな花を咲かせた
飾り気のない君の笑顔がとろけて
僕の胸の奥の陽だまりになった
....
なのはな (快活)
山裾に噴き出したいくつもの黄色い掌が
緩やかな風にくすぐられて歓声をあげた
思わず駆け出しそうになる鼓動の先で
君の後ろ姿が弾みながら春になった ....
アネモネ (はかない恋)
あなたの気弱な指先でわたしを摘んで欲しい
わたしの一番可憐な時間を花瓶に挿して欲しい
あなたの意識の端をひとときでも彩れたら
ノートパソコンの ....
さざんか (ひたむきな愛)
ぎこちない言葉をどんなに重ねても
降り積もっていく紅には追いつけない
つないだ手と手のささやかな温もりだけが
行間に溢れる紅を伝えようと ....
カトレア (優美な女性)
含み笑いの訳すら読ませてはくれずに
まろやかな眼差しで僕を押しとどめて
あなたは沈黙の端に句読点を置いた
微かな痛みを伴った午後が紫に薫っ ....
てっぽうゆり (純潔)
迷うことのない指先が夜を滑って
僕が吐いた言葉を花に変えていく
闇にも溶けないひたむきさを透かして
仄見える君の純潔が僕を温かくする
....
パンジー (ものおもい)
青空の端にぼんやり頬杖をついて
ほつれた飛行機雲を指先で丸めながら
色とりどりの想いを散らかしっぱなし
冬風が口笛で呼んでも君はうわの空
....
クリスマスローズ (慰め)
クリスマスなんて大嫌いと吐き捨てる
君の傷跡が透けて見えそうな夜
瘡蓋の上に貼りつけただけの棘に
僕が金色の星を灯してもいいかな
....
スイートピー (門出)
予感の種は忘れた頃に発芽して
思いがけない場所に花を咲かせる
淡い花びらのような羽を広げた
君を笑顔で見送れるだろうか
スノー ....
ウメ (忠実)
天神様の細道で大事な人を
繋ぎ止めようとしただけなのに
どうしていつまでも付き纏うのか
やたらと匂い過ぎる言葉達よ
スイセン ( ....
プリムラ (永続する愛)
朝が生まれるように君の名を呼び
風が踊るように君と手をつなぎ
雨が語るように君を想い続け
星が黙るように君を抱き寄せた
....
エリカ(孤独)
哀しみの根は地面を食い縛り
おまえはヒースの真っ只中で動けない
切りつける寒風は情け容赦なく
おまえの溜息だけが薄っすらと紅い
....