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鈴は沈む 大気の蜜へ
黙したものの{ルビ自重=じじゅう}により
若葉に光の飛沫
木漏れ日の揺り籠に落下する蜂
五月の河畔を夢がさまよう
ポケットの中に全てを失くしている ....
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人であると知る
ある日
詩人の詩を読んで
自分は詩人ではないと知る
ある日
同じひとりの人が
そんなふり幅で
弦も響いて
からっぽだから余計に ....
青い裂果
光の手中に墜ち
さえずる鳥 ついばむ鳥
文字へと変ずるか 黒く蟻を纏って
大気に溶けだす肉体は祈り
小さな動物の頭蓋のよう
未満の種子 生を宿すこともなく ....
{ルビ理由=わけ}もなくかなしい時がある
理由はあっても 不明なのだ
本当は
居場所の見当はついている
古い古い付き合いの 理由を
引っ張って来て 座らせて
またも千日手を繰 ....